説明

置換オキサゾリジノン類およびそれらの使用

本発明は、新規置換オキサゾリジノン類、それらの製造方法、疾患の処置および/または予防のためのそれらの使用、並びに疾患、特に血栓塞栓性障害の処置および/または予防用の医薬を製造するためのそれらの使用に関する。


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、新規置換オキサゾリジノン類、それらの製造方法、疾患の処置および/または予防のためのそれらの使用、並びに疾患、特に血栓塞栓性障害の処置および/または予防用の医薬を製造するためのそれらの使用に関する。
【背景技術】
【0002】
血液凝固は、血管壁の欠損を迅速かつ確実に「封止」するのを助ける生物の保護メカニズムである。かくして、血液の損失を回避または最小に維持できる。血管損傷後の止血は主に凝血系により実行され、そこでは血漿タンパク質の複雑な反応の酵素的カスケードが誘起される。多数の血液凝固因子がこの過程に関与し、それらの因子の各々は、活性化されると、各々の次の不活性な前駆体をその活性形態に変換する。カスケードの終わりでは、可溶性フィブリノーゲンの不溶性フィブリンへの変換に至り、血餅の形成をもたらす。血液凝固では、伝統的に、共通の反応経路で終わる内因性と外因性のシステムは区別されている。ここで、Xa因子およびIIa因子(トロンビン)は、鍵となる役割を果たす。
【0003】
Xa因子は、VIIa因子/組織因子(外因性経路)およびテナーゼ複合体(内因性経路)の両方を介して、X因子の変換により形成されるので、2つの凝固経路のシグナルをまとめる。活性化されたセリンプロテアーゼXaは、プロトロンビンをトロンビンに切断する。
【0004】
一連の反応を通して、トロンビンは、このカスケードから血液の凝固状態へシグナルを伝達する。トロンビンは、フィブリノーゲンを直接フィブリンに切断する。それは、フィブリン血餅の安定化に必要とされるXIII因子を、XIIIa因子に活性化する。加えて、トロンビンは、これもまた止血にかなり貢献する血小板凝集(PAR−1活性化を介する)の強力な引き金である。TAFI(トロンビン活性化線溶阻害因子)をTAFIaに活性化することにより、トロンボモジュリンとの複合体中のトロンビンは、血餅の溶解を阻害する。VおよびVIII因子の活性化は、トロンビン生成を増強し、かくして凝固反応を増幅する;トロンボモジュリンとの複合体において産生される、活性化されたプロテインCは、このトロンビン生成の増加に対抗し、かくして、過剰な止血(血栓症)を防止する。
【0005】
血液中の結合していないX因子およびトロンビンに加えて、結合形態も知られている。フィブリン血餅の形成中に、トロンビンおよびプロトロンビナーゼ(複合体中のXa因子)は、フィブリン骨格に結合する。これらの酵素分子は、依然として活性であり、内在性アンチトロンビンIIIにより阻害され得ない。従って、このようにして、血餅は、依然として全般的な凝固の潜在能力を有する。
【0006】
多くの心血管および代謝障害の過程で、全身的要因、例えば、高脂血症、糖尿病または喫煙の結果として、うっ滞による血液の変化、例えば、心房細動のために、または、血管壁の病的な変化、例えば内皮細胞機能不全またはアテローム性動脈硬化のために、凝固および血小板活性化の傾向の増加がある。この望まれない過剰な止血は、フィブリンおよび血小板に富む血栓の形成により、生命を脅かす状態を伴う、血栓塞栓性障害および血栓性合併症を引き起こし得る。
【0007】
止血は、複雑な調節メカニズムに従う。凝固系の無制御の活性化または活性化過程の阻害の欠陥は、血管(動脈、静脈、リンパ管)または心腔における局所的な血栓症または塞栓症の形成を導き得る。これは、深刻な血栓性または血栓塞栓性障害を導き得る。加えて、全身的過凝固状態は、汎発性の血管内凝血に関して、消費性凝固障害を導き得る。血栓塞栓性の合併症は、さらに、微小血管障害性の溶血性貧血、血液透析などの体外循環システム、および、心臓代用弁(prosthetic heart valves)およびステントにおいて起こる。
【0008】
血栓塞栓性障害は、最も工業化された国々における罹患と死亡の最多の原因である [Heart Disease: A Textbook of Cardiovascular Medicine, Eugene Braunwald, 5th edition, 1997, W.B. Saunders Company, Philadelphia]。
【0009】
先行技術から知られている抗凝血剤、例えば、血液凝固を阻害または防止する物質は、様々な、しばしば深刻な、欠点を有する。従って、実際のところ、血栓性/血栓塞栓性障害の有効な処置方法または予防は、非常に困難かつ不満足なものであると判明した。
【0010】
血栓塞栓性障害の治療および予防において、ヘパリンが最初に使用され、非経腸で、または皮下に投与される。より好適な薬物動態学的特性のために、最近は低分子量ヘパリンがますます好まれている;しかしながら、後述するヘパリン治療で起こる既知の欠点は、この方法では回避できない。このように、ヘパリンは、経口で効果がなく、比較的短い半減期しか有さない。加えて、高い出血のリスクがあり、特に、脳出血および胃腸管での出血があり得、血小板減少、薬物性脱毛症または骨粗鬆症があり得る [Pschyrembel, Klinisches Woerterbuch, 257th edition, 1994, Walter de Gruyter Verlag, page 610, キーワード「ヘパリン」; Roempp Lexikon Chemie, version 1.5, 1998, Georg Thieme Verlag Stuttgart, キーワード「ヘパリン」]。低分子量ヘパリンは、ヘパリン起因性血小板減少症の発症を導く可能性は低い;しかしながら、それらも同様に、皮下でしか投与できない。これは、半減期の長い合成選択的Xa因子阻害剤であるフォンダパリナックスにも当てはまる。
【0011】
第2のクラスの抗凝血剤は、ビタミンKアンタゴニストである。これらには、例えば、1,3−インダンジオン類、特に、ワーファリン、フェノプロクモン(phenprocoumon)、ジクマロールおよび他のクマリン誘導体などの化合物が含まれ、これらは、肝臓におけるある種のビタミンK依存性凝固因子の様々な生成物の合成を非選択的に阻害する。この作用メカニズムのために、作用の開始は非常に遅い(作用開始までの潜時36ないし48時間)。この化合物は経口投与できる;しかしながら、出血のリスクが高く治療係数が狭いために、患者の複雑な個別の調整と監視が必要である [J. Hirsch, J. Dalen, D.R. Anderson et al., "Oral anticoagulants: Mechanism of action, clinical effectiveness, and optimal therapeutic range" Chest 2001, 119, 8S 21S; J. Ansell, J. Hirsch, J. Dalen et al., "Managing oral anticoagulant therapy" Chest 2001, 119, 22S 38S; P.S. Wells, A.M. Holbrook, N.R. Crowther et al., "Interactions of warfarin with drugs and food" Ann. Intern. Med. 1994, 121, 676 683]。さらに、胃腸の問題、脱毛および皮膚の壊死などの、他の副作用が記載されている。
【0012】
加えて、トロンビン阻害剤が、より小規模で用いられている。ヒルジンは、非常に強力にトロンビンを阻害するタンパク質である。組換え形態で、それは、予備的抗凝血剤として静脈内投与される。ビバリルジンは、ヒルジンの20個のアミノ酸の断片であり、それは、非常に短い半減期を有し、同様に経口で利用できない。これは、直接的非ペプチド性低分子量トロンビン阻害剤のアルガトロバンにも当てはまる[J.H. Sohn, et al. Appl.Microbiol.Biotechnol.2001,57,606-613; T. Galdwell Clin. Ther. 2002, 24, 38-58;G. Escolar, Drugs of Today 2006, 42, 223]。
【0013】
さらなる治療アプローチは、Xa因子単独の阻害を伴う [J. Hauptmann, J. Steuerzebecher, Thrombosis Research 1999, 93, 203; S.A.V. Raghavan, M. Dikshit, "Recent advances in the status and targets of antithrombotic agents" Drugs Fut. 2002, 27, 669-683; H.A. Wieland, V. Laux, D. Kozian, M. Lorenz, "Approaches in anticoagulation: Rationales for target positioning" Curr. Opin. Investig. Drugs 2003, 4, 264-271; U.J. Ries, W. Wienen, "Serine proteases as targets for antithrombotic therapy" Drugs Fut. 2003, 28, 355-370; L.-A. Linkins, J.I. Weitz, "New anticoagulant therapy" Annu. Rev. Med. 2005, 56, 63-77; A. Casimiro-Garcia et al., "Progress in the discovery of Factor Xa inhibitors" Expert Opin. Ther. Patents 2006, 15, 119-145]。
【0014】
ここで、様々なペプチド性および非ペプチド性の両方の化合物がXa因子阻害剤として有効であることが動物モデルで示された。今日までに、多数の直接的Xa因子阻害剤が知られている [J.M. Walenga, W.P. Jeske, D. Hoppensteadt, J. Fareed, "Factor Xa Inhibitors: Today and beyond" Curr. Opin. Investig. Drugs 2003, 4, 272-281; J. Ruef, H.A. Katus, "New antithrombotic drugs on the horizon" Expert Opin. Investig. Drugs 2003, 12, 781-797; M.L. Quan, J.M. Smallheer, "The race to an orally active Xa因子 inhibitor: Recent advances" Curr. Opin. Drug Discovery & Development 2004, 7, 460-469]。非ペプチド性、低分子量Xa因子阻害剤としてのオキサゾリジノン類は、WO01/47919に記載されている。
【0015】
最近、低分子量のトロンビンおよびXa因子の阻害剤を、インビトロおよびインビボで、様々な混合比で試験するアプローチが記載された。ここで、強い相乗的潜在能力が見出された。タノギトラン(tanogitran)は、トロンビンおよびXa因子の両方を阻害すると記載されたが、トロンビン阻害への強い優先度を有する低分子量物質である。開発中であるこの物質は、経口で生物が利用可能ではない。
【0016】
抗血栓性医薬には、治療の幅が非常に重要である:最小のリスクプロフィールで最大の治療活性を達成できるように、凝固阻害のために治療的に活性な用量と、出血が起こり得る用量との隔たりは、できるだけ大きくあるべきである。
【0017】
低分子量のトロンビンおよびXa因子の阻害剤の混合物を用いる実験により示される通り、トロンビンおよびXa因子の両方を阻害する化合物は、それらのデュアルの特徴のために、特に強い相乗作用を有し、従って、血栓形成の制御において特に有効である。このようにして、これらの化合物は、個々の酵素を完全に遮断せずに、凝固カスケードの2つの鍵となる酵素を阻害する。残っている部分のXa因子およびトロンビンは、損なわれていない止血をもたらし、かくして、特に有利な治療の幅をもたらす。ウサギの動静脈シャントモデルで、抗血栓的に弱い活性しかない投与量の選択的Xa因子阻害剤PD0313052および選択的トロンビン阻害剤アルガトロバンの同時投与が、強い超相加的抗血栓効果をもたらすことを立証できた。加えて、最大の相乗効果の個々の用量を組み合わせると、出血の増加は観察されなかった。これらの観察は、トロンビンおよびXa因子の同時阻害は、抗血栓作用と出血リスクの隔たりに関して、治療の幅を高めると結論付けることを可能にする(Journal of Thrombosis and Haemostasis, 4: 834-841)。
【0018】
この相乗作用は、物質濃度の関数としてのプロトロンビン時間を純粋なXa因子およびトロンビンの阻害剤との直接比較により研究すると、特に著しい。凝固カスケードの鍵となる2種の酵素に対するこの強い効果は、高い血栓形成のリスクがあるとき、または、血栓形成が致死的な疾患をもたらし得るときに、特に有利であると考えられる。両者は、例えば、急性冠血管症候群のタイプのアテローム血栓性障害の場合に、または、急性心筋梗塞後の状況で、関連がある。
【0019】
さらに、ヘパリン類、ヒルジンおよびビタミンKアンタゴニストと対照的に、トロンビンおよびXa因子の両方を阻害する化合物は、フィブリン血餅に結合した凝固因子に対しても活性であろう。既存の血餅の血栓性潜在能力の制限は、動脈閉塞の予防において決定的な点である。これは、存在するトロンビン活性および血餅中の新たなトロンビンの形成の両方を阻害することにより、特に効果的に達成される。純粋なトロンビン阻害剤は血餅に結合したXa因子を含有するプロトロンビナーゼ複合体による雪崩様のトロンビン生成を防止できず、従って、大量の生成されたトロンビンにより高度に刺激された凝固において、阻害効果が過度に補償され得るのに対し、純粋なXa因子阻害剤は、既存のトロンビン活性を阻害する能力がない。阻害は同様に生理的メカニズムによっても可能ではなく、この血餅に結合したトロンビンは、特に大きいリスクをもたらす。対照的に、デュアル(dual)化合物、即ち、トロンビンおよびXa因子の両方を阻害する化合物は、血餅上のトロンビン生成およびトロンビン活性の両方を阻害する能力があり、かくして、可能性のある血餅の成長も防止する。
【0020】
従って、デュアル化合物、即ち、トロンビンおよびXa因子の両方を阻害し、血餅上のトロンビン生成およびトロンビン活性を阻害することにより、それらの可能性のある成長を防止し、広い治療の幅を有する、ヒトおよび動物の疾患、特に血栓塞栓性障害を制御するための化合物を提供することが、本発明の目的である。
【0021】
本発明は、式
【化1】

[式中、
nは、0、1、2または3の数を表し、
は、塩素、トリフルオロメトキシ、メチル、エチル、n−プロピル、メトキシ、メトキシメチルまたはエトキシメチルを表し、
は、水素またはメチルを表す]
の化合物、並びにそれらの塩、それらの溶媒和物およびそれらの塩の溶媒和物を提供する。
【0022】
本発明による化合物は、式(I)の化合物およびそれらの塩、溶媒和物および塩の溶媒和物、式(I)に包含される後述する式の化合物およびそれらの塩、溶媒和物および塩の溶媒和物、並びに、式(I)に包含される例示的実施態様として後述する化合物およびそれらの塩、溶媒和物および塩の溶媒和物(後述する式(I)に含まれる化合物が、既に塩、溶媒和物および塩の溶媒和物でない場合に)である。
【0023】
本発明による化合物は、それらの構造によっては、立体異性体(エナンチオマー、ジアステレオマー)で存在できる。従って、本発明は、エナンチオマーまたはジアステレオマーおよびそれらの各々の混合物を含む。そのようなエナンチオマーおよび/またはジアステレオマーの混合物から、立体異性的に均一な構成分を既知方法で単離できる。
本発明による化合物が互変異性体で存在できる場合、本発明は、全ての互変異性体を含む。
【0024】
本発明に関して、好ましいは、本発明による化合物の生理的に許容し得る塩である。本発明はまた、それら自体は医薬適用に適さないが、例えば本発明による化合物の単離または精製に使用できる塩も含む。
【0025】
本発明による化合物の生理的に許容し得る塩には、鉱酸、カルボン酸およびスルホン酸の酸付加塩、例えば、塩酸、臭化水素酸、硫酸、リン酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、トルエンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、ナフタレンジスルホン酸、酢酸、トリフルオロ酢酸、プロピオン酸、乳酸、酒石酸、リンゴ酸、クエン酸、フマル酸、マレイン酸および安息香酸の塩が含まれる。
【0026】
本発明による化合物の生理的に許容し得る塩には、また、常套の塩基の塩、例えば、そして好ましくは、アルカリ金属塩(例えばナトリウム塩およびカリウム塩)、アルカリ土類金属塩(例えばカルシウム塩およびマグネシウム塩)、および、アンモニアまたは1個ないし16個の炭素原子を有する有機アミン(例えば、そして好ましくは、エチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、エチルジイソプロピルアミン、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、ジシクロヘキシルアミン、ジメチルアミノエタノール、プロカイン、ジベンジルアミン、N−メチルモルホリン、アルギニン、リジン、エチレンジアミンおよびN−メチルピペリジン)から誘導されるアンモニウム塩が含まれる。
【0027】
本発明に関して、溶媒和物は、固体または液体状態で溶媒分子との配位により錯体を形成している本発明による化合物の形態である。水和物は、配位が水とのものである、溶媒和物の特別な形態である。本発明に関して、好ましい溶媒和物は水和物である。
【0028】
さらに、本発明はまた、本発明による化合物のプロドラッグも含む。用語「プロドラッグ」は、それら自体は生物学的に活性であっても不活性であってもよいが、それらが体内に滞在する時間中に、本発明による化合物に(例えば代謝的または加水分解的に)変換される化合物を含む。
【0029】
好ましいのは、式中、
nが、0、1または2の数を表し、
が、塩素、トリフルオロメトキシ、メチル、n−プロピル、メトキシまたはメトキシメチルを表し、
が、水素またはメチルを表す、
式(I)の化合物、並びにそれらの塩、それらの溶媒和物およびそれらの塩の溶媒和物である。
【0030】
好ましいのは、また、式中、
nが、0、1または2の数を表し、
が、メチル、メトキシまたはメトキシメチルを表し、
が、水素を表す、
式(I)の化合物、並びにそれらの塩、それらの溶媒和物およびそれらの塩の溶媒和物である。
【0031】
好ましいのは、また、式中、
nが、0、1または2の数を表し、
が、メチルを表し、
が、水素を表す、
式(I)の化合物、並びにそれらの塩、それらの溶媒和物およびそれらの塩の溶媒和物である。
【0032】
好ましいのは、また、式中、
nが、1または2の数を表し、
が、メチルを表し、
が、水素を表す、
式(I)の化合物、並びにそれらの塩、それらの溶媒和物およびそれらの塩の溶媒和物である。
【0033】
好ましいのは、また、式中、nが1または2の数を表す、式(I)の化合物である。
好ましいのは、また、式中、nが1の数を表す、式(I)の化合物である。
好ましいのは、また、式中、Rがメチルを表す、式(I)の化合物である。
好ましいのは、また、式中、Rが水素を表す、式(I)の化合物である。
好ましいのは、また、式中、Rがメチルを表し、Rが水素を表す、式(I)の化合物である。
【0034】
特に好ましいのは、式
【化2】

の化合物、5−クロロ−N−[((5S)−3−{4−[3−(ヒドロキシメチル)−2−オキソピリジン−1(2H)−イル]−3−メチルフェニル}−2−オキソ−1,3−オキサゾリジン−5−イル)メチル]チオフェン−2−カルボキサミド、並びに、その塩、その溶媒和物およびその塩の溶媒和物である。この化合物は、実施例2に記載されている。
【0035】
特に好ましいのは、また、式
【化3】

の化合物5−クロロ−N−[((5S)−3−{4−[3−(2−ヒドロキシエチル)−2−オキソピリジン−1(2H)−イル]−3−メチルフェニル}−2−オキソ−1,3−オキサゾリジン−5−イル)メチル]チオフェン−2−カルボキサミド、並びに、その塩、その溶媒和物およびその塩の溶媒和物である。この化合物は、実施例6に記載されている。
【0036】
特に好ましいのは、また、式
【化4】

の化合物5−クロロ−N−{[(5S)−3−{4−[3−(3−ヒドロキシプロピル)−2−オキソピリジン−1(2H)−イル]−3−メチルフェニル}−2−オキソ−1,3−オキサゾリジン−5−イル]メチル}チオフェン−2−カルボキサミド、並びに、その塩、その溶媒和物およびその塩の溶媒和物である。この化合物は、実施例10に記載されている。
【0037】
ラジカルの各々の組合せまたは好ましい組合せで与えられる特定のラジカルの定義は、各々の与えられるラジカルの組合せから独立して、他の組合せのラジカルの定義のいずれによっても置き換えられる。
上述の好ましい範囲の2つまたはそれ以上の組合せがことさら特に好ましい。
【0038】
本発明は、さらに、式(I)の化合物、またはそれらの塩、溶媒和物もしくは塩の溶媒和物の製造方法を提供し、その方法では、
[A]式
【化5】

の化合物を、第1工程で、式
【化6】

(式中、n、RおよびRは、上記の意味を有する)
の化合物と反応させ、式
【化7】

(式中、n、RおよびRは、上記の意味を有する)
の化合物を得、第2工程で、ホスゲンまたはホスゲン等価物、例えば、カルボニルジイミダゾール(CDI)の存在下で環化し、式(I)の化合物を得る、
または、
[B]式
【化8】

(式中、n、RおよびRは、上記の意味を有する)
の化合物を、式
【化9】

(式中、Xは、ハロゲン、好ましくは臭素もしくは塩素、またはヒドロキシルを表す)
の化合物と反応させる。
【0039】
ヒドロキシル基が工程中で、例えばシリル保護基により、保護されているならば、方法[A]または[B]が終わった後に、当業者に知られている方法を使用して、例えば、フッ化テトラブチルアンモニウムと、溶媒、例えば、テトラヒドロフラン中で反応させることにより、または、メタノール中で塩化水素と反応させることにより、これらを除去する。
【0040】
それらの塩の遊離塩基は、例えば、塩基を添加したアセトニトリル/水グラジエントを使用する逆相カラムのクロマトグラフィーにより、特に、RP18 Phenomenex Luna C18(2) カラムおよび塩基としてのジエチルアミンを使用することにより、または、それらの塩を有機溶媒に溶解し、重炭酸ナトリウムなどの塩基性の塩の水性溶液で抽出することにより、得ることができる。
【0041】
本発明は、さらに、化合物の塩または化合物の塩の溶媒和物を、塩基を添加してクロマトグラフィーすることによりそれらの化合物に変換する、式(I)の化合物またはそれらの溶媒和物の製造方法を提供する。
【0042】
方法[A]による第1工程の反応は、一般的に、不活性溶媒中、ルイス酸の存在下、好ましくは室温から溶媒の還流までの温度範囲で、大気圧で実施する。
不活性溶媒は、例えば、極性非プロトン性溶媒、例えば、アセトニトリル、ブチロニトリル、ジクロロメタンまたはクロロホルムである;好ましいのは、アセトニトリルである。
ルイス酸は、例えば、過塩素酸マグネシウム、イッテルビウム(III)トリフルオロメタンスルホネート、臭化リチウム、マグネシウムトリフレートまたは、三塩化アルミニウムである;好ましいのは、過塩素酸マグネシウムである。
【0043】
方法[A]による第2工程の反応は、一般的に、不活性溶媒中、塩基の存在下、好ましくは室温から溶媒の還流までの温度範囲で、大気圧で実施する。
不活性溶媒は、例えば、極性非プロトン性溶媒、例えば、アセトニトリルまたはブチロニトリルである。
塩基は、例えば、強い第三級アミン塩基、例えば、4−N,N−ジメチルアミノピリジンである。
好ましいのは、炭酸等価物としてのN,N'−カルボニルジイミダゾールを用いて、塩基として4−N,N−ジメチルアミノピリジンを添加する反応である。
【0044】
方法[B]においてXがハロゲンであるならば、反応は、一般的に、不活性溶媒中、必要に応じて塩基の存在下、好ましくは−30℃ないし50℃の温度範囲で、大気圧で実施する。
不活性溶媒は、例えば、テトラヒドロフラン、塩化メチレン、ピリジン、ジオキサンまたはジメチルホルムアミドであり、好ましいのはテトラヒドロフランまたは塩化メチレンである。
塩基は、例えば、トリエチルアミン、ジイソプロピルエチルアミンまたはN−メチルモルホリンである;好ましいのは、ジイソプロピルエチルアミンである。
【0045】
方法[B]においてXがヒドロキシルであるならば、反応は、一般的に、不活性溶媒中、脱水剤の存在下、必要に応じて塩基の存在下、好ましくは−30℃ないし50℃の温度範囲で、大気圧で実施する。
【0046】
不活性溶媒は、例えば、ジクロロメタンまたはトリクロロメタンなどのハロゲン化炭化水素類、ベンゼン、ニトロメタン、ジオキサン、ジメチルホルムアミドまたはアセトニトリルなどの炭化水素類である。これらの溶媒の混合物を使用することも可能である。特に好ましいのは、ジクロロメタンまたはジメチルホルムアミドである。
【0047】
ここで、適する脱水剤は、例えば、N,N'−ジエチル−、N,N'−ジプロピル−、N,N'−ジイソプロピル−、N,N'−ジシクロヘキシルカルボジイミド、N−(3−ジメチルアミノイソプロピル)−N'−エチルカルボジイミド塩酸塩(EDC)、N−シクロヘキシルカルボジイミド−N'−プロピルオキシメチル−ポリスチレン(PS−カルボジイミド)などのカルボジイミド類、または、カルボニルジイミダゾールなどのカルボニル化合物、または、2−エチル−5−フェニル−1,2−オキサゾリウム−3−サルフェートもしくは2−tert−ブチル−5−メチルイソオキサゾリウムパークロレートなどの1,2−オキサゾリウム化合物、または、2−エトキシ−1−エトキシカルボニル−1,2−ジヒドロキノリンなどのアシルアミノ化合物、または、プロパンホスホン酸無水物、または、イソブチルクロロホルメート、または、ビス(2−オキソ−3−オキサゾリジニル)ホスホリルクロリドまたはベンゾトリアゾリルオキシ−トリ(ジメチルアミノ)ホスホニウムヘキサフルオロホスフェート、または、O−(ベンゾトリアゾール−1−イル)−N,N,N',N'−テトラメチルウロニウムヘキサフルオロホスフェート(HBTU)、2−(2−オキソ−1−(2H)−ピリジル)−1,1,3,3−テトラメチルウロニウムテトラフルオロボレート(TPTU)、または、O−(7−アザベンゾトリアゾール−1−イル)−N,N,N',N'−テトラメチルウロニウムヘキサフルオロホスフェート(HATU)、または、1−ヒドロキシベンゾトリアゾール(HOBt)、または、ベンゾトリアゾール−1−イルオキシトリス(ジメチルアミノ)ホスホニウムヘキサフルオロホスフェート(BOP)、または、N−ヒドロキシスクシンイミド、またはこれらの塩基との混合物である。
【0048】
塩基は、例えば、炭酸ナトリウムまたは炭酸カリウムまたは重炭酸ナトリウムまたは重炭酸カリウムなどのアルカリ金属炭酸塩、または、トリアルキルアミン類、例えばトリエチルアミン、N−メチルモルホリン、N−メチルピペリジン、4−ジメチルアミノピリジンまたはジイソプロピルエチルアミンなどの有機塩基である。
HATUまたはEDCを用いる縮合は、好ましくは、HOBtの存在下で実施する。
【0049】
式(II)および(VI)の化合物は、知られているか、または、対応する出発物質から既知の方法により合成できる。
【0050】
式(III)の化合物は、知られているか、または、式
【化10】

(式中、n、RおよびRは、上記の意味を有する)
の化合物中のニトロ基を還元することにより、製造できる。
【0051】
この反応は、一般的に、還元剤を使用して、不活性溶媒中で、好ましくは室温ないし溶媒の還流の温度範囲で、大気圧ないし3barで実施する。
還元剤は、例えば、パラジウム/炭素、水素、二塩化スズ、三塩化チタン、または、エタノールと酢酸エチルの混合物中のギ酸アンモニウムおよびパラジウム/炭素である;好ましいのは、パラジウム/炭素および水素または二塩化スズである。
不活性溶媒は、例えば、ジエチルエーテル、メチルtert−ブチルエーテル、1,2−ジメトキシエタン、ジオキサン、テトラヒドロフラン、グリコールジメチルエーテルまたはジエチレングリコールジメチルエーテルなどのエーテル類、メタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノールまたはtert−ブタノールなどのアルコール類、ベンゼン、キシレン、トルエン、ヘキサン、シクロヘキサンまたは鉱油留分などの炭化水素類、または、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、アセトニトリルまたはピリジンなどの他の溶媒である;好ましい溶媒は、メタノール、エタノール、イソプロパノール、または、二塩化スズの場合、ジメチルホルムアミドである。
【0052】
式(VII)の化合物は、知られているか、または、対応する出発物質から既知方法により合成できるか、または、実施例の部に記載の方法と同様に製造できる。
【0053】
式(V)の化合物は、知られているか、または、式
【化11】

(式中、n、RおよびRは、上記の意味を有する)
の化合物からフタルイミド保護基を除去することにより製造できる。
【0054】
この反応は、一般的に、水性メチルアミン溶液またはエタノール中のヒドラジン水和物の溶液を使用して、好ましくは水性メチルアミン溶液を使用して、溶媒の還流で、大気圧下で実施する。
【0055】
式(VIII)の化合物は、知られているか、方法[A]に記載の通りに製造できるか、または、適当な出発物質から既知方法により合成できる。
【0056】
式(III)、(IV)、(V)、(VII)および(VIII)の化合物中、ヒドロキシル基は、例えば、tert−ブチル(ジフェニル)シリルなどのシリル保護基を有してもよい。
【0057】
本発明による化合物の製造は、下記の合成スキームにより例示説明できる:
スキーム1:
【化12】

【0058】
本発明による化合物は、予想し得ない有用な薬理活性スペクトルを有する。
従って、それらは、ヒトおよび動物における疾患の処置および/または予防用の医薬としての使用に適する。
本発明の化合物は、特に、抗凝血剤として作用する、血液凝固因子Xaおよびトロンビン(IIa因子)のデュアル阻害剤である。これらの化合物は、トロンビンおよびXa因子の両方を阻害し、血餅上のトロンビン生成および活性を阻害することにより、それらの可能性のある成長を防止し、広い治療の幅を有する。
本発明はさらに、障害、好ましくは血栓塞栓性障害および/または血栓塞栓性合併症の処置および/または予防のための、本発明による化合物の使用を提供する。
【0059】
本発明の意味における「血栓塞栓性障害」は、特に、ST上昇型心筋梗塞(STEMI)および非ST上昇型心筋梗塞(非STEMI)、安定狭心症、不安定狭心症、血管形成術または大動脈冠動脈バイパス術などの冠動脈介入後の再閉塞および再狭窄、末梢動脈閉塞疾患、肺栓塞症、深部静脈血栓および腎静脈血栓、一過性虚血発作および血栓性および血栓塞栓性卒中などの障害である。
【0060】
従って、本発明による化合物は、例えば心房細動などの急性、間欠性または持続性心不整脈を有する患者、および電気的除細動を受けている者、さらに、心臓弁障害を有するか、または人工心臓弁を有する患者における、心原性血栓塞栓症、例えば、脳虚血、卒中および全身性血栓塞栓症および虚血の予防および処置にも適する。
【0061】
血栓塞栓性合併症は、さらに、微小血管障害性溶血性貧血、血液透析などの体外循環システムおよび人工心臓弁で起こる。
【0062】
さらに、本発明による化合物は、アテローム硬化性血管障害および炎症障害、例えば運動器のリウマチ性障害の予防および/または処置にも、そして、それに加えて、アルツハイマー病の予防および/または処置にも適する。さらに、本発明による化合物は、腫瘍の成長および転移形成の阻害、微小血管障害、加齢に伴う黄斑変性症、糖尿病性網膜症、糖尿病性腎症および他の微小血管の障害、並びに、例えば、腫瘍患者、特に大きい外科的介入または化学もしくは放射線治療を受けている患者の、静脈血栓塞栓症などの血栓塞栓性合併症の予防および処置にも使用できる。
【0063】
さらに、本発明による化合物は、肺高血圧の予防および/または処置にも適する。
用語「肺高血圧」には、例えば世界保健機関(WHO)により定められる、ある種の形態の肺高血圧が含まれる(Clinical Classification of Pulmonary Hypertension, Venice 2003)。言及し得る例は、肺動脈高血圧、左心障害に関連する肺高血圧、肺障害および/または低酸素症に関連する肺高血圧、および、慢性血栓塞栓症に起因する肺高血圧(CTEPH)である。
【0064】
「肺動脈高血圧」には、特発性肺動脈高血圧(IPAH、以前は原発性肺高血圧とも呼ばれた)、家族性肺動脈高血圧(FPAH)、並びに、膠原線維症(collagenoses)、先天性全身−肺シャント(congenital systemic-pulmonary shunt vitia)、門脈圧亢進症、HIV感染、ある種の薬物および医薬の摂取に、他の障害(甲状腺障害、糖原病、ゴーシェ病、遺伝性末梢血管拡張症(teleangiectasy)、異常ヘモグロビン症、骨髄増殖性障害、脾摘出)に、肺静脈閉塞症および肺毛細血管腫症などの重大な静脈/毛細血管の寄与のある障害に関連する、随伴性肺動脈高血圧(APAH)、並びに、新生児の持続性肺高血圧が含まれる。
【0065】
左心障害に関連する肺高血圧には、疾患のある左心房または左心室、および、僧帽弁または大動脈弁の欠陥が含まれる。
肺障害および/または低酸素症に関連する肺高血圧には、慢性閉塞性肺障害、間質性肺障害、睡眠時無呼吸症候群、肺胞低換気、慢性高山病および遺伝的欠陥が含まれる。
慢性血栓塞栓症に起因する肺高血圧(CTEPH)には、近位肺動脈の血栓塞栓性閉塞、遠位肺動脈の血栓塞栓性閉塞および非血栓性肺塞栓症(腫瘍、寄生生物、異物)が含まれる。
【0066】
本発明は、さらに、サルコイドーシス、組織球症Xおよびリンパ管腫(lymphangiomatosis)に関連する肺高血圧の処置および/または予防用の医薬を製造するための、本発明による化合物の使用を提供する。
さらに、本発明による物質は、肺および肝臓の線維症の処置にも好適であり得る。
【0067】
さらに、本発明による化合物は、敗血症(または敗血症)、全身性炎症症候群(SIRS)、敗血性臓器機能不全、敗血性臓器不全および多臓器不全、急性呼吸促迫症候群(ARDS)、急性肺損傷(ALI)、敗血性ショック、DIC(播種性血管内凝固または消費性凝固障害)および/または敗血性臓器不全の処置および/または予防にも好適であり得る。
【0068】
「敗血症」は、感染および全身性炎症反応症候群(以後、「SIRS」と称する)の存在と定義される。SIRSは感染に関連して起こるが、傷害、火傷、ショック、手術、虚血、膵炎、蘇生または腫瘍などの他の状態に関連しても起こる。1992年からの ACCP/SCCM Consensus Conference Committee の定義 (Crit Care Med 1992; 20:864-874) は、「SIRS」の診断に必要とされる診断症状および測定パラメーターを記載している(とりわけ、体温変化、脈拍の増加、呼吸困難および血液像の変化)。後(2001年)の SCCM/ESICM/ACCP/ATS/SIS International Sepsis Definitions Conference は、本質的にはこの基準を維持したが、詳細を微調整した (Levy et al., Crit Care Med 2003; 31:1250-1256)。
【0069】
敗血症の過程では、様々な器官の微小血栓および二次的な出血性合併症を伴う全身的な凝血系の活性化があり得る(播種性血管内凝固または消費性凝固障害、以後「DIC」と称する)。さらに、血管の透過性の増大並びに流体およびタンパク質の血管外腔へのしみ出しを伴う内皮損傷があり得る。敗血症が進行するにつれて、臓器不全(例えば、腎不全、肝不全、呼吸不全、中枢神経の欠陥および/または心血管系の不全)または多臓器不全があり得る。「敗血性ショック」は、処置を必要とする低血圧の発症を表し、その低血圧は、さらなる臓器の損傷を促進し、予後の悪化と関連する。
【0070】
病原体は、細菌(グラム陰性およびグラム陽性)、真菌、ウイルスおよび/または真核生物であり得る。侵入点または一次感染は、例えば、肺炎、尿路感染または腹膜炎であり得る。感染は、必ずではないが、菌血症と関連し得る。
【0071】
DICおよび/またはSIRSは敗血症で起こり得るが、手術、腫瘍疾患、火傷または他の傷害の結果としても起こり得る。DICでは、損傷を受けた内皮細胞の表面、異物の表面または傷害された血管外の組織で、凝血系の大きい活性化がある。結果として、様々な臓器の小血管での凝血があり、低酸素および続く臓器の機能不全を伴う。二次的に、凝固因子(例えば、X因子、プロトロンビンおよびフィブリノーゲン)および血小板の消費があり、それは、血液が凝固する能力を低下させ、深刻な出血をもたらし得る。
【0072】
敗血症の治療は、第1に、例えば、手術による局所的な再構築および抗生作用による、感染原因の当然の排除からなる。第2に、それは、冒された器官系の一時的な集中的医療支援にある。この疾病の様々な段階の治療は、例えば、以下の刊行物(Dellinger et al., Crit Care Med 2004;32:858-873)に記載されている。DICには、証明された有効な治療はない。
【0073】
本発明は、さらに、特に、上述の障害の処置および/または予防用の、本発明による化合物および1種またはそれ以上のさらなる活性化合物を含む医薬を提供する。例示的かつ好ましい活性化合物の組み合わせは、以下のものである:
・抗菌治療
計画的治療(微生物の診断の存在に先立つ)または敗血症治療として、様々な抗生物質または抗真菌剤の組み合わせが適する。
・流体治療
例えば、晶質またはコロイド状流体
・昇圧剤
例えば、ノルエピネフリン、ドーパミンまたはバソプレシン
・変力性治療
例えばドブタミン
・コルチコステロイド
例えば、ヒドロコルチゾンまたはフルドロコルチゾン
・組換えヒト活性化プロテインC
ザイグリス
・血液製剤
例えば、赤血球濃縮物、血小板濃縮物、エリスロポエチンまたは新鮮な凍結血漿
・敗血症に誘導される急性肺傷害(ALI)または急性呼吸促迫症候群の場合、人工呼吸
例えば、許容的な高炭酸ガス血症、一回換気量の減少
・鎮静、鎮痛および神経筋遮断
鎮静:例えば、ジアゼパム、ロラゼパム、ミダゾラムまたはプロポフォール。オピオイド:例えば、フェンタニル、ヒドロモルホン、モルヒネ、メペリジンまたはレミフェンタニル。NSAID:例えば、ケトロラク、イブプロフェンまたはアセトアミノフェン。神経筋遮断:例えば、パンクロニウム
・グルコース制御
例えば、インシュリン、グルコース
・腎置換方法
例えば、連続的静静脈血液濾過、または、間欠的血液透析。腎臓保護のための低用量ドーパミン。
・抗凝血剤
例えば、血栓症予防または腎置換方法のための、例えば、未分画ヘパリン、低分子量ヘパリン、ヘパリン類似物質、ヒルジン、ビバリルジンまたはアルガトロバン。
・重炭酸塩療法
・ストレス潰瘍予防
例えばH2−受容体阻害剤、制酸剤。
【0074】
加えて、本発明による化合物は、また、エクスビボでの凝血を防止するために、例えば、血液および血漿製品の保存のために、カテーテルおよび他の医療器具および装置の洗浄/予処理のために、インビボまたはエクスビボで使用する医療器具および装置の合成表面の被覆のために、または、Xa因子またはIIa因子を含む生物学的サンプルのために、使用できる。
【0075】
本発明は、さらに、障害、特に上述の障害の処置および/または予防のための、本発明による化合物の使用を提供する。
本発明は、さらに、障害、特に上述の障害の処置および/または予防用の医薬を製造するための、本発明による化合物の使用を提供する。
本発明は、さらに、抗凝血的に有効な量の本発明による化合物を使用する、障害、特に上述の障害の処置および/または予防方法を提供する。
【0076】
本発明は、さらに、インビトロでの、特に、保存血液またはXa因子および/またはIIa因子を含有する生物学的サンプルにおける、血液凝固の防止方法を提供し、その方法は、抗凝血的に有効な量の本発明による化合物を添加することを特徴とする。
【0077】
本発明は、さらに、特に、上述の障害の処置および/または予防のための、本発明の化合物および1種またはそれ以上のさらなる活性化合物を含む医薬を提供する。例えば、そして好ましくは、以下の活性化合物または組み合わせに言及し得る:
・脂質低下物質、特に、HMG−CoA−(3−ヒドロキシ−3−メチルグルタリル−コエンザイムA)レダクターゼ阻害剤、例えば、ロバスタチン(メバコル(Mevacor);US4,231,938)、シンバスタチン(ゾコル(Zocor);US4,444,784)、プラバスタチン(プラバコール(Pravachol);US4,346,227)、フルバスタチン(レスコール(Lescol);US5,354,772)およびアトルバスタチン(リピトール;US5,273,995);
【0078】
・冠血管治療剤/血管拡張剤、特に、ACE(アンジオテンシン変換酵素)阻害剤、例えば、カプトプリル、リシノプリル、エナラプリル、ラミプリル、シラザプリル、ベナゼプリル、ホシノプリル、キナプリルおよびペリンドプリル、または、AII(アンジオテンシンII)受容体アンタゴニスト、例えば、エンブサルタン(embusartan)(US5,863,930)、ロサルタン、バルサルタン、イルベサルタン、カンデサルタン、エプロサルタンおよびテミサルタン(temisartan)、または、β−アドレナリン受容体アンタゴニスト、例えば、カルベジロール、アルプレノロール、ビソプロロール、アセブトロール、アテノロール、ベタキソロール、カルテオロール、メトプロロール、ナドロール、ペンブトロール、ピンドロール、プロパノロール(propanolol)およびチモロール、または、アルファ−1−アドレナリン受容体アンタゴニスト、例えば、プラゾシン、ブナゾシン、ドキサゾシンおよびテラゾシン、または、利尿剤、例えば、ヒドロクロロチアジド、フロセミド、ブメタニド、ピレタニド、トラセミド、アミロライドおよびジヒドララジン、または、カルシウムチャネル遮断薬、例えば、ベラパミルおよびジルチアゼム、または、ジヒドロピリジン誘導体、例えば、ニフェジピン(アダラート)およびニトレンジピン(バイオテンシン(Bayotensin))、または、ニトロ製剤、例えば、5−一硝酸イソソルビド、二硝酸イソソルビドおよび三硝酸グリセリン、または、環状グアノシン一リン酸(cGMP)の増加を引き起こす物質、例えば、可溶性グアニル酸シクラーゼの刺激剤(WO98/16223、WO98/16507、WO98/23619、WO00/06567、WO00/06568、WO00/06569、WO00/21954、WO00/66582、WO01/17998、WO01/19776、WO01/19355、WO01/19780、WO01/19778、WO07/045366、WO07/045367、WO07/045369、WO07/045370、WO07/045433);
【0079】
・プラスミノーゲン活性化因子(血栓溶解剤/線維素溶解剤)および血栓溶解/線維素溶解を促進する化合物、例えば、プラスミノーゲン活性化因子阻害因子の阻害剤(PAI阻害剤)またはトロンビン活性化線溶阻害因子の阻害剤(TAFI阻害剤)、例えば組織プラスミノーゲン活性化因子(t−PA)、ストレプトキナーゼ、レテプラーゼおよびウロキナーゼ;
【0080】
・抗凝血物質(抗凝血剤)、例えば、ヘパリン(UFH)、低分子量ヘパリン(NMH)、例えば、チンザパリン、セルトパリン(certoparin)、パルナパリン、ナドロパリン、アルデパリン、エノキサパリン、レビパリン、ダルテパリン、ダナパロイド、
AVE5026(Sanofi-Aventis, Company Presentation 2008, February 12)、
M118(Momenta Pharmaceuticals Inc., Press Release 2008, February 14)、
ORG42675(Organon International Inc., Company World Wide Website 2007, April)、
【0081】
および、直接的トロンビン阻害剤(DTI)、例えば、
エクサンタ(Exanta)(キシメラガトラン)
【化13】

【0082】
レンディックス(Rendix)(ダビガトラン)
【化14】

【0083】
AZD−0837[AstraZeneca Annual Report 2006, 19 March 2007]
【化15】

【0084】
SSR−182289A[J. Lorrain et al. Journal of Pharmacology and Experimental Therapeutics 2003, 304, 567-574; J-M Altenburger et al. Bioorg.Med.Chem. 2004, 12, 1713-1730]
【化16】

【0085】
TGN−167[S. Combe et al. Blood 2005, 106, abstract 1863 (ASH 2005)]
N−[(ベンジルオキシ)カルボニル]−L−フェニルアラニル−N−[(1S)−1−(ジヒドロキシボリル)−4−メトキシブチル]−D−プロリンアミド[WO2005/084685]
【化17】

【0086】
ソフィガトラン(Sofigatran)[WHO Drug Information 2007, 21, 77]
【化18】

MCC−977[Mitsubishi Pharma website pipeline 2006, July 25, 2006]、
MPC−0920[Press Release: "Myriad Genetics Begins Phase 1 Trial of Anti-Thrombin Drug MPC-0920", Myriad Genetics Inc, 02. Mai 2006] および
【0087】
TGN−255(フロバガトラン(flovagatran))
【化19】

【0088】
および、直接Xa因子阻害剤、例えば、
リバロキサバン(BAY59−7939):5−クロロ−N−({(5S)−2−オキソ−3−[4−(3−オキソモルホリン−4−イル)フェニル]−1,3−オキサゾリジン−5−イル}メチル)チオフェン−2−カルボキサミド[WO2001/47919]
【化20】

【0089】
AX−1826[S. Takehana et al. Japanese Journal of Pharmacology 2000, 82 (Suppl. 1), 213P; T. Kayahara et al. Japanese Journal of Pharmacology 2000, 82 (Suppl. 1), 213P]、
タノギトラン(tanogitran)(BIBT−986、プロドラッグ:BIBT−1011):N−[(1R)−1−{2−[({4−[アミノ(イミノ)−メチル]フェニル}アミノ)メチル]−1−メチル−1H−ベンゾイミダゾール−5−イル}−1−メチル−2−オキソ−2−ピロリジン−1−イルエチル]グリシン[American Chemical Society - 226th National Meeting, New York City, NY, USA, 2003]
【化21】

【0090】
WO2004/056784に開示の化合物、
YM−150[Y. Iwatsuki et al. Blood 2006, 108, abstract 911 (ASH 2006)]、
N−{4−ブロモ−2−[(5−クロロピリジン−2−イル)カルバモイル]−6−ヒドロキシフェニル}−1−イソプロピルピペリジン−4−カルボキサミド[JP2005/179272]
【化22】

【0091】
WO2000/242270に開示の化合物、
AZ12300547:6−[4−({(2S)−4−[(3−クロロ−1H−インドール−6−イル)スルホニル]−2−メチル−6−オキソピペラジン−1−イル}メチル)フェニル]−2−メチルピリダジン−3(2H)−オン[K.L Granberg et al. American Chemical Society - 232th National Meeting, San Francisco, USA, 2006, MEDI 391]
【化23】

【0092】
WO2007/008142に開示の化合物、
ラザキサバン(razaxaban)(DPC−906):1−(3−アミノ−1,2−ベンゾイソオキサゾール−5−イル)−N−(4−{2−[(ジメチルアミノ)−メチル]−1H−イミダゾール−1−イル}−2−フルオロフェニル)−3−(トリフルオロメチル)−1H−ピラゾール−5−カルボキサミド[J.Med.Chem. 2005, 48, 1729-1744]
【化24】

【0093】
アピキサバン(BMS−562247):1−(4−メトキシフェニル)−7−オキソ−6−[4−(2−オキソピペリジン−1−イル)フェニル]−4,5,6,7−テトラヒドロ−1H−ピラゾロ[3,4−c]ピリジン−3−カルボキサミド[WO2003/026652、WO2003/049681]
【化25】

【0094】
BMS−691648:3−クロロ−N−[(3S,4R)−1−(メチルスルホニル)−4−{[4−(2−オキソピリジン−1(2H)−イル)ベンゾイル]アミノ}ピペリジン−3−イル]−1H−インドール−6−カルボキサミド[T. Guengoer et al. Drugs Fut. 2006, 31(Suppl A): abstract P118;WO2004/082687]
【化26】

【0095】
DX−9065a:(2S)−3−{7−[アミノ(イミノ)メチル]−2−ナフチル}−2−(4−{[(3S)−1−エタンイミドイル−ピロリジン−3−イル]オキシ}フェニル)プロパン酸[T. Nagahara et al. J.Med.Chem. 1994, 37, 1200-1207]
【化27】

【0096】
DU−176b[Y. Morishima et al. Blood 2004, 104, abstract 1862 (ASH 2004); T. Fukuda et al. Blood 2004, 104, abstract 1852 (ASH 2004); T. Furugohri et al. Blood 2004, 104, abstract 1851 (ASH 2004)]、
N−(5−クロロピリジン−2−イル)−N'−[(1S,2R,4S)−4−(ジメチルカルバモイル)−2−{[(5−メチル−4,5,6,7−テトラヒドロ[1,3]チアゾロ[5,4−c]ピリジン−2−イル)カルボニル]アミノ}シクロヘキシル]エタンジアミド[US2005/0020645、WO2005/47296]
【化28】

【0097】
US2005/0020645に開示の化合物、
LY517717:N−{(1R)−2−[4−(1−メチルピペリジン−4−イル)ピペラジン−1−イル]−2−オキソ−1−フェニルエチル}−1H−インドール−6−カルボキサミド[WO2000/76971、WO2002/100847]
【化29】

【0098】
813893[Proteinase Inhibitor Design - Fourth SCI-RSC Symposium, Proteinase 2004: Strategies for New Medicines (Part I), London]、
6−クロロ−N−{(3S)−1−[(1S)−1−メチル−2−モルホリン−4−イル−2−オキソエチル]−2−オキソピロリジン−3−イル}ナフタレン−2−スルホンアミド[N.S. Watson et al. Bioorg.Med.Chem.Lett. 2006, 16, 3784;WO2002/100830;WO2002/100886]
【化30】

【0099】
KFA−1982(KFA−1829のプロドラッグ)[T. Koizumi et al. Journal of Thrombosis and Hemostasis 2003, 1 Suppl 1, P2022]、
EMD−503982[Merck KGaA Annual Report 2006, 48-49]、
EMD−495235:5−クロロ−N−[(1R)−1−(メトキシメチル)−2−{[3−メチル−4−(3−オキソモルホリン−4−イル)−フェニル]アミノ}−2−オキソエチル]チオフェン−2−カルボキサミド[Bioorg.Med.Chem.Lett. 2004, 14, 5817-5822]
【化31】

【0100】
M−55113:4−[(6−クロロ−2−ナフチル)スルホニル]−1−[(1−ピリジン−4−イルピペリジン−4−イル)メチル]ピペラジン−2−オン[H. Nishida et al. Chem.Pharm.Bull. 2001, 49, 1237-1244]
【化32】

【0101】
M−55551/M−55555:(2R)−4−[(6−クロロ−2−ナフチル)スルホニル]−6−オキソ−1−[(1−ピリジン−4−イルピペリジン−4−イル)メチル]ピペラジン−2−カルボン酸[H. Nishida et al. Chem.Pharm.Bull. 2002, 50, 1187-1194]
【化33】

【0102】
M−55190:エチル(2R)−4−[(6−クロロ−2−ナフチル)スルホニル]−6−オキソ−1−[(1−ピリジン−4−イルピペリジン−4−イル)メチル]ピペラジン−2−カルボキシレート[H. Nishida et al. 16th Int Symp Med Chem, Bologna, 18-22 Sept 2000, Abst PA-125]
【化34】

【0103】
M−55532:7−[(6−クロロ−2−ナフチル)スルホニル]−8a−(メトキシメチル)−1'−ピリジン−4−イルテトラヒドロ−5H−スピロ[1,3−オキサゾロ[3,2−a]ピラジン−2,4'−ピペリジン]−5−オン[H. Nishida et al. 228th ACS National Meeting, Philadelphia, August 22-26, 2004, MEDI-251; H. Nishida et al. Chem.Pharm.Bull. 2004, 52, 406-412; dito 459-462]
【化35】

【0104】
N−({7−[(5−クロロ−1H−インドール−2−イル)スルホニル]−5−オキソ−1'−プロピオニルテトラヒドロ−8aH−スピロ[1,3−オキサゾロ−[3,2−a]ピラジン−2,4'−ピペリジン]−8a−イル}メチル)−N−メチルグリシン[WO2006/106804]
【化36】

【0105】
PRT54021[U. Sinha et al. Blood 2006, 108, abstract 907 (ASH 2006); K. Abe et al. Blood 2006, 108, abstract 901 (ASH 2006)]、
WO2006/002099に開示の化合物、
オタミキサバン(otamixaban)(FXV−673、RPR−130673):メチル(2R,3R)−2−{3−[アミノ(イミノ)メチル]ベンジル}−3−{[4−(1−オキシドピリジン−4−イル)ベンゾイル]アミノ}ブタノエート[V. Chu et al. Thrombosis Research 2001, 103, 309-324; K.R. Guertin et al. Bioorg Med.Chem.Lett. 2002, 12, 1671-1674]
【化37】

【0106】
AVE3247[Sanofi Aventis Company Presentation, Paris 2007, February 13]、
SAR377142(SSR−7142)[Sanofi Aventis Company Presentation, Paris 2007, February 13]、
HMR−2906[XVIIth Congress of the International Society for Thrombosis and Haemostasis, Washington D.C., USA, 14-21 Aug 1999; Generating greater value from our products and pipeline. Aventis SA Company Presentation, 05 Feb 2004]、
イドラパリナックス[Harry R. Bueller et al. Blood, 2006, 108, abstract 571 (ASH 2006)] および
フォンダパリナックス;
【0107】
・血小板凝集を阻害する物質(血小板凝集阻害剤、栓球凝集阻害剤)、例えば、アセチルサリチル酸(例えばアスピリン)、チクロピジン(チクリド(ticlid))、クロピドグレル(プラビックス)およびプラスグレル;
・フィブリノーゲン受容体アンタゴニスト(糖タンパク質−IIb/IIIaアンタゴニスト)、例えば、アブシキシマブ、エプチフィバチド、チロフィバン、ラミフィバン(lamifiban)、レフラダフィバン(lefradafiban)およびフラダフィバン(fradafiban);
・並びに、抗不整脈薬。
【0108】
本発明は、さらに、少なくとも1種の本発明による化合物を、通常1種またはそれ以上の不活性、非毒性の医薬的に適する補助剤と共に含む医薬、および、上述の目的でのそれらの使用に関する。
【0109】
本発明による化合物は、全身的および/または局所的に作用できる。この目的で、それらは、適する方法で、例えば、経口で、非経腸で、肺に、鼻腔に、舌下に、舌に、頬側に、直腸に、皮膚に、経皮で、結膜に、耳経路で、または、インプラントもしくはステントとして、投与できる。
これらの投与経路のために、本発明による化合物を適する投与形で投与できる。
【0110】
経口投与に適するのは、先行技術に準じて機能し、本発明による化合物を迅速に、かつ/または、改変された様式で送達し、本発明による化合物を結晶形および/または無定形および/または溶解形で含有する投与形、例えば、錠剤(非被覆または被覆錠剤、例えば、腸溶性被覆、または、不溶であるか、または、遅れて溶解し、本発明による化合物の放出を制御する被覆を有するもの)、口中で迅速に崩壊する錠剤、または、フィルム/オブラート、フィルム/凍結乾燥剤、カプセル剤(例えば、ハードまたはソフトゼラチンカプセル剤)、糖衣錠、顆粒剤、ペレット剤、粉末剤、乳剤、懸濁剤、エアゾル剤または液剤である。
【0111】
非経腸投与は、吸収段階を回避して(例えば、静脈内、動脈内、心臓内、脊髄内または腰椎内に)、または、吸収を含めて(例えば、筋肉内、皮下、皮内、経皮または腹腔内)、行うことができる。非経腸投与に適する投与形は、とりわけ、液剤、懸濁剤、乳剤、凍結乾燥剤または滅菌粉末剤の形態の注射および点滴用製剤である。
【0112】
他の投与経路に適するのは、例えば、吸入用医薬形(とりわけ、粉末吸入器、噴霧器)、点鼻薬、液またはスプレー;舌、舌下または頬側投与用の錠剤、フィルム/オブラートまたはカプセル剤、坐剤、耳または眼用製剤、膣用カプセル剤、水性懸濁剤(ローション、振盪混合物)、親油性懸濁剤、軟膏、クリーム、経皮治療システム(例えば、パッチ)、ミルク、ペースト、フォーム、散布用粉末剤(dusting powder)、インプラントまたはステントである。
【0113】
経口または非経腸投与、特に経口投与が好ましい。
【0114】
本発明による化合物は、上述の投与形に変換できる。これは、不活性、非毒性、医薬的に適する補助剤と混合することにより、それ自体既知の方法で行うことができる。これらの補助剤には、とりわけ、担体(例えば微結晶セルロース、ラクトース、マンニトール)、溶媒(例えば液体ポリエチレングリコール類)、乳化剤および分散剤または湿潤剤(例えばドデシル硫酸ナトリウム、ポリオキシソルビタンオレエート)、結合剤(例えばポリビニルピロリドン)、合成および天然ポリマー(例えばアルブミン)、安定化剤(例えば抗酸化剤、例えばアスコルビン酸など)、着色料(例えば無機色素、例えば酸化鉄など)および香味および/または臭気のマスキング剤が含まれる。
【0115】
一般に、非経腸投与で約0.001ないし5mg/体重kg、好ましくは約0.01ないし1mg/体重kgの量を投与するのが、有効な結果を達成するために有利であると明らかになり、経口投与では、投与量は、約0.01ないし100mg/体重kg、好ましくは約0.01ないし20mg/体重kg、ことさら特に好ましくは0.1ないし10mg/体重kgである。
【0116】
それにも拘わらず、必要に応じて、特に、体重、投与経路、有効成分に対する個体の応答、製剤の性質および投与を行う時間または間隔に応じて、上述の量から逸脱することが必要であり得る。従って、上述の最小量より少なくても十分な場合があり得、一方上述の上限を超えなければならない場合もある。大量投与の場合、これらを1日に亘る複数の個別用量に分割するのが望ましいことがある。
【0117】
以下の例示的実施態様は、本発明を例示説明する。本発明は、これらの実施例に限定されない。
以下の試験および実施例における百分率のデータは、断りの無い限り、重量パーセントである;部は、重量部である。液体/液体溶液の溶媒比、希釈比および濃度のデータは、各場合で体積に基づく。
【実施例】
【0118】
A. 実施例
略号
【表1】

【0119】
LC−MSおよびHPLCの方法
方法1(HPLC):装置:DAD検出を備えた HP 1100;カラム:Kromasil 100 RP-18, 60 mm x 2.1 mm, 3.5 μm;移動相A:過塩素酸(濃度70%)5ml/水1l、移動相B:アセトニトリル;グラジエント:0分2%B→0.5分2%B→4.5分90%B→6.5分90%B→6.7分2%B→7.5分2%B;流速:0.75ml/分;カラム温度:30℃;検出:UV210nm。
【0120】
方法2(HPLC):装置:DAD検出を備えた HP 1100;カラム:Kromasil 100 RP-18, 60 mm x 2.1 mm, 3.5 μm;移動相A:過塩素酸(濃度70%)5ml/水1l、移動相B:アセトニトリル;グラジエント:0分2%B→0.5分2%B→4.5分90%B→9分90%B→9.2分2%B→10分2%B;流速:0.75ml/分;カラム温度:30℃;UV検出:210nm。
【0121】
方法3(LC−MS):MS装置タイプ:Micromass ZQ;HPLC装置タイプ:Waters Alliance 2795; カラム: Phenomenex Synergi 2μ Hydro-RP Mercury 20 mm x 4 mm;移動相A:水1l+濃度50%のギ酸0.5ml、移動相B:アセトニトリル1l+濃度50%のギ酸0.5ml;グラジエント:0.0分90%A→2.5分30%A→3.0分5%A→4.5分5%A;流速:0.0分1ml/分、2.5分/3.0分/4.5分2ml/分;オーブン:50℃;UV検出:210nm。
【0122】
方法4(LC−MS):MS装置タイプ:Micromass ZQ;HPLC装置タイプ:HP 1100 Series; UV DAD;カラム:Phenomenex Synergi 2μ Hydro-RP Mercury 20 mm x 4 mm;移動相A:水1l+濃度50%のギ酸0.5ml、移動相B:アセトニトリル1l+濃度50%のギ酸0.5ml;グラジエント:0.0分90%A→2.5分30%A→3.0分5%A→4.5分5%A;流速:0.0分1ml/分、2.5分/3.0分/4.5分2ml/分;オーブン:50℃;UV検出:210nm。
【0123】
方法5(LC−MS):装置:HPLC Agilent series 1100 を備えた Micromass Quattro LCZ;カラム:Phenomenex Synergi 2μ Hydro-RP Mercury 20 mm x 4 mm;移動相A:水1l+濃度50%のギ酸0.5ml、移動相B:アセトニトリル1l+濃度50%のギ酸0.5ml;グラジエント:0.0分90%A→2.5分30%A→3.0分5%A→4.5分5%A;流速:0.0分1ml/分、2.5分/3.0分/4.5分2ml/分;オーブン:50℃;UV検出:208−400nm。
【0124】
方法6(LC−MS):MS装置タイプ:Micromass ZQ;HPLC装置タイプ:HP 1100 Series; UV DAD;カラム:Phenomenex Gemini 3μ 30 mm x 3.00 mm;移動相A:水1l+濃度50%のギ酸0.5ml、移動相B:アセトニトリル1l+濃度50%のギ酸0.5ml;グラジエント:0.0分90%A→2.5分30%A→3.0分5%A→4.5分5%A;流速:0.0分1ml/分、2.5分/3.0分/4.5分。2ml/分;オーブン:50℃;UV検出:210nm。
【0125】
方法7(LC−MS):装置:HPLC Agilent Serie 1100 を備えた Micromass Platform LCZ; カラム: Thermo Hypersil GOLD 3μ 20 mm x 4 mm;移動相A:水1l+濃度50%のギ酸0.5ml、移動相B:アセトニトリル1l+濃度50%のギ酸0.5ml;グラジエント:0.0分100%A→0.2分100%A→2.9分30%A→3.1分10%A→5.5分10%A;オーブン:50℃;流速:0.8ml/分;UV検出:210nm。
【0126】
方法8(LC−MS):MS装置タイプ:Waters ZQ;HPLC装置タイプ:Waters Alliance 2795;カラム:Phenomenex Onyx Monolithic C18, 100 mm x 3 mm;移動相A:水1l+濃度50%のギ酸0.5ml、移動相B:アセトニトリル1l+濃度50%のギ酸0.5ml;グラジエント:0.0分90%A→2分65%A→4.5分5%A→6分5%A;流速:2ml/分;オーブン:40℃;UV検出:210nm。
【0127】
方法9(GC−MS):装置:Micromass GCT, GC6890;カラム:Restek RTX-35MS, 30 m x 250 μm x 0.25 μm;一定のヘリウム流速:0.88ml/分;オーブン:60℃;入口:250℃;グラジエント:60℃(0.30分間維持)、50℃/分→120℃,16℃/分→250℃,30℃/分→300℃(1.7分間維持)。
【0128】
方法10(GC−MS):装置:Micromass GCT, GC6890;カラム:Restek RTX-35, 15 m x 200 μm x 0.33 μm;一定のヘリウム流速:0.88ml/分;オーブン:70℃;入口:250℃;グラジエント:70℃、30℃/分→310℃(3分間維持)。
【0129】
出発物質
実施例1A
5−クロロ−N−[(2S)−オキシラン−2−イルメチル]チオフェン−2−カルボキサミド
【化38】

実施例1Aは、WO04/101557(実施例6A)に記載の通りに製造する。
【0130】
実施例2A
3−(ヒドロキシメチル)ピリジン−2(1H)−オン
【化39】

室温で、ヘキサメチルジシラン23.2g(144mmol)およびクロロトリメチルシラン0.781g(7.19mmol)を、トルエン100ml中の2−ヒドロキシニコチン酸10.0g(71.9mmol)の懸濁液に添加し、混合物をKPGスターラーで、110℃で30分間撹拌する。次いで、混合物を−40℃に冷却し、ジクロロメタン中の1モル濃度ジイソブチルアルミニウムヒドリド溶液22.5g(158mmol)を、溶液に滴下して添加する。混合物を室温に温め、室温で18時間撹拌し、最終的に、−10℃で、希塩酸を用いてpH=4に調節し、温度が−10℃を超えないように、メタノール500mlを添加する。形成される沈殿を濾過し、水100mlを濾液に添加し、混合物を50℃で1時間撹拌し、沈殿を濾過する。濾液を濃縮し、所望の化合物8.55g(理論値の95%)を得る。
1H-NMR (400 MHz, DMSO-d6, δ/ppm): 11.53 (br. s, 1H), 7.40 (d, 1H), 7.25 (d, 1H), 6.19 (dd, 1H), 5.00 (t, 1H), 4.28 (d, 2H).
HPLC (方法 1): Rt = 0.27 分.
MS (ESIpos, m/z): 148 (M+Na)+.
【0131】
実施例3A
3−({[tert−ブチル(ジフェニル)シリル]オキシ}メチル)ピリジン−2(1H)−オン
【化40】

室温で、イミダゾール0.65g(9.59mmol)、t−ブチルジフェニルクロロシラン2.42g(8.79mmol)およびDMAP0.10g(0.80mmol)を、DMF19ml中の実施例2Aの化合物1.00g(7.99mmol)に添加し、混合物を18時間撹拌する。次いで、水180mlを添加し、混合物を0℃に3時間維持する。濾過後、得られる残渣をシリカゲルのクロマトグラフィー(酢酸エチル/エチルジメチルアミン1000:1)により精製する。これにより、所望の化合物801mg(理論値の27%)を得る。
1H-NMR (400 MHz, DMSO-d6, δ/ppm): 11.61 (br. s, 1H), 7.69-7.52 (m, 5H), 7.51-7.38 (m, 6H), 7.30 (d, 1H), 6.29 (dd, 1H), 4.51 (s, 2H), 1.05 (s, 9H).
HPLC (方法 2): Rt = 5.27 分.
MS (DCI, m/z): 364 (M+H)+.
【0132】
実施例4A
3−({[tert−ブチル(ジフェニル)シリル]オキシ}メチル)−1−(2−クロロ−4−ニトロフェニル)ピリジン−2(1H)−オン
【化41】

0℃で、カリウムtert−ブトキシド0.500g(4.46mmol)を、DMF21ml中の実施例3Aの化合物1.08g(2.97mmol)に添加し、混合物を室温で30分間撹拌する。2−クロロ−1−フルオロ−4−ニトロベンゼン0.571g(3.27mmol)を添加し、混合物を室温で撹拌する。4.5時間後、水200mlを添加し、次いで、混合物を酢酸エチルで3回抽出する。合わせた有機相を水で洗浄し、次いで硫酸ナトリウムで乾燥させる。濾過後、溶媒を減圧下で除去する。残渣をシリカゲルのクロマトグラフィー(シクロヘキサン/酢酸エチル9:1)により精製する。これにより、所望の化合物872mg(理論値の56%)を得る。
1H-NMR (400 MHz, DMSO-d6, δ/ppm): 8.52 (d, 1H), 8.32 (dd, 1H), 7.85 (d, 1H), 7.76 (dd, 1H), 7.68-7.63 (m, 4H), 7.59-7.55 (m, 1H), 7.54-7.41 (m, 6H), 6.54 (dd, 1H), 4.56 (br. s, 2H), 1.07 (s, 9H).
HPLC (方法 2): Rt = 6.05 分.
MS (DCI, m/z): 519 (M+H)+.
【0133】
実施例5A
1−(4−アミノ−2−クロロフェニル)−3−({[tert−ブチル(ジフェニル)シリル]オキシ}メチル)ピリジン−2(1H)−オン
【化42】

実施例4Aの化合物800mg(1.54mmol)を、THF48mlに溶解する。次いで、パラジウム/炭素50mg(0.05mmol)を添加し、室温で、水素雰囲気中、大気圧下で混合物を水素化する。次いで、混合物を濾過し、濾過ケーキをTHFで洗浄し、濾液から溶媒を除去する。反応生成物(純度:95%)を、さらに精製せずにさらに反応させる。
HPLC (方法 1): Rt = 5.55 分.
MS (ESIpos, m/z): 489 (M+H)+.
【0134】
実施例6A
N−{[(5S)−3−{4−[3−({[tert−ブチル(ジフェニル)シリル]オキシ}メチル)−2−オキソピリジン−1(2H)−イル]−3−クロロ−フェニル}−2−オキソ−1,3−オキサゾリジン−5−イル]メチル}−5−クロロチオフェン−2−カルボキサミド
【化43】

実施例1Aの化合物386mg(1.77mmol)を、アセトニトリル24ml中の実施例5Aの化合物789mg(1.61mmol)の溶液に添加する。過塩素酸マグネシウム540mg(2.42mmol)を懸濁液に添加する。室温で19時間後、実施例1Aの化合物193mg(0.952mmol)を添加し、室温での撹拌をさらに30時間継続する。次いで、1,1'−カルボニルジイミダゾール523mg(2.46mmol)およびDMAP19mg(0.09mmol)を添加し、混合物を60℃で加熱する。21時間後、混合物を水、飽和塩化ナトリウム水溶液および酢酸エチルで希釈する。水相を酢酸エチルで2回抽出し、合わせた有機相を硫酸ナトリウムで乾燥させる。濾過後、溶媒を除去し、残渣をシリカゲルのクロマトグラフィー(シクロヘキサン/酢酸エチル1:1)により精製する。これにより、所望の生成物533mg(理論値の45%)を得る。
1H-NMR (400 MHz, DMSO-d6, δ/ppm): 8.97 (t, 1H), 7.85 (dd, 1H), 7.73 (dd, 1H), 7.70-7.63 (m, 5H), 7.58 (dd, 1H), 7.53-7.38 (m, 8H), 7.19 (d, 1H), 6.47 (dd, 1H), 4.91-4.82 (m, 1H), 4.55 (br. s, 2H), 4.24 (dd, 1H), 3.89 (dd, 1H), 3.65-3.58 (m, 2H), 1.07 (s, 9H).
HPLC (方法 2): Rt = 6.07 分.
MS (ESIpos, m/z): 732 (M+H)+.
【0135】
実施例7A
3−({[tert−ブチル(ジフェニル)シリル]オキシ}メチル)−1−(2−メチル−4−ニトロフェニル)ピリジン−2(1H)−オン
【化44】

実施例4Aと同様に、実施例3Aの化合物1.50g(4.13mmol)を、2−フルオロ−5−ニトロトルエン704mg(4.54mmol)と反応させる。これにより、表題化合物570mg(理論値の28%)を得る。
1H-NMR (400 MHz, DMSO-d6, δ/ppm): 8.29 (d, 1H), 8.17 (dd, 1H), 7.76 (dd, 1H), 7.67-7.63 (m, 4H), 7.57 (d, 1H), 7.53 (dd, 1H), 7.51-7.41 (m, 6H), 6.52 (t, 1H), 4.63-4.51 (m, 2H), 2.12 (s, 3H), 1.07 (s, 9H).
HPLC (方法 4): Rt = 3.39 分.
MS (ESIpos, m/z): 499 (M+H)+.
【0136】
実施例8A
1−(4−アミノ−2−メチルフェニル)−3−({[tert−ブチル(ジフェニル)シリル]オキシ}メチル)ピリジン−2(1H)−オン
【化45】

実施例7Aの化合物555mg(1.11mmol)を、THF15mlに溶解し、パラジウム/炭素150mgを添加し、水素雰囲気中、大気圧で、理論量の水素が取り込まれるまで混合物を水素化する。触媒を濾過し、減圧下で濃縮した後、表題化合物520mg(理論値の99%)を得る。
1H-NMR (400 MHz, DMSO-d6, δ/ppm): 7.70-7.63 (m, 5H), 7.51-7.41 (m, 6H), 7.40-7.36 (m, 1H), 6.78 (d, 1H), 6.47-6.41 (m, 2H), 6.38 (t, 1H), 5.22 (s, ブロード, 2H), 4.59-4.48 (m, 2H), 1.81 (s, 3H), 1.06 (s, 9H).
HPLC (方法 5): Rt = 3.20 分.
MS (ESIpos, m/z): 469 (M+H)+.
【0137】
実施例9A
N−[((5S)−3−{4−[3−({[tert−ブチル(ジフェニル)シリル]オキシ}メチル)−2−オキソピリジン−1(2H)−イル]−3−メチル−フェニル}−2−オキソ−1,3−オキサゾリジン−5−イル)メチル]−5−クロロチオフェン−2−カルボキサミド
【化46】

実施例8Aの化合物522mg(1.11mmol)を、アセトニトリル10mlに溶解し、実施例1Aの化合物266mg(1.22mmol)を0℃で添加する。過塩素酸マグネシウム373mg(1.67mmol)を添加し、混合物を室温で20時間撹拌する。次いで、1,1'−カルボニルジイミダゾール271mg(1.67mmol)およびDMAP14mg(0.11mmol)を添加し、反応混合物を60℃で20時間加熱する。次いで、混合物を減圧下で濃縮し、水およびtert−ブチルメチルエーテルを添加する。混合物を酢酸エチルで2回抽出する。合わせた有機相を硫酸ナトリウムで乾燥させ、濃縮する。残渣を分取HPLCにより精製する。これにより、所望の生成物562mg(理論値の71%)を得る。
1H-NMR (400 MHz, DMSO-d6, δ/ppm): 8.97 (t, 1H), 7.74-7.63 (m, 6H), 7.58-7.41 (m, 9H), 7.23 (d, 1H), 7.19 (d, 1H), 6.45 (t, 1H), 4.89-4.80 (m, 1H), 4.58-4.49 (m, 2H), 4.21 (t, 1H), 3.90-3.83 (m, 1H), 3.63-3.58 (m, 2H), 1.98 (s, 3H), 1.07 (s, 9H).
HPLC (方法 4): Rt = 3.39 分.
MS (ESIpos, m/z): 712/714 (35Cl/37Cl) (M+H)+.
【0138】
実施例10A
3−({[tert−ブチル(ジフェニル)シリル]オキシ}メチル)−1(2メトキシ−4−ニトロフェニル)ピリジン−2(1H)−オン
【化47】

実施例4Aと同様に、実施例3Aの化合物5.00g(13.8mmol)を、1−フルオロ−2−メトキシ−4−ニトロベンゼン2.59g(15.1mmol)と反応させる。生成物をシリカゲルのクロマトグラフィー(移動相ペンタン/酢酸エチル=5:1)により精製し、表題化合物2.70g(理論値の38%)を得る。
1H-NMR (400 MHz, DMSO-d6, δ/ppm): 7.97 (d, 1H), 7.92 (dd, 1H), 7.74-7.70 (m, 1H), 7.68-7.64 (m, 4H), 7.61 (d, 1H), 7.52-7.43 (m, 7H), 6.46 (t, 1H), 4.54 (s, 2H), 3.88 (s, 3H), 1.07 (s, 9H).
HPLC (方法 5): Rt = 3.32 分.
MS (ESIpos, m/z): 515 (M+H)+.
【0139】
実施例11A
1−(4−アミノ−2−メトキシフェニル)−3−({[tert−ブチル(ジフェニル)シリル]オキシ}メチル)ピリジン−2(1H)−オン
【化48】

実施例10Aの化合物2.60g(5.05mmol)を、実施例8Aと同様に水素化する。これにより、表題化合物2.40g(理論値の95%)を得る。
1H-NMR (400 MHz, DMSO-d6, δ/ppm): 7.70-7.61 (m, 5H), 7.51-7.42 (m, 6H), 7.34-7.31 (m, 1H), 6.79 (d, 1H), 6.35-6.29 (m, 2H), 6.15 (dd, 1H), 5.35 (s, ブロード, 2H), 4.50 (s, 2H), 3.60 (s, 3H), 1.06 (s, 9H).
HPLC (方法 5): Rt = 3.13 分.
MS (ESIpos, m/z): 485 (M+H)+.
【0140】
実施例12A
N−[((5S)−3−{4−[3−({[tert−ブチル(ジフェニル)シリル]オキシ}メチル)−2−オキソピリジン−1(2H)−イル]−3−メトキシフェニル}−2−オキソ−1,3−オキサゾリジン−5−イル)メチル]−5−クロロチオフェン−2カルボキサミド
【化49】

実施例6Aと同様に、実施例11Aの化合物2.30g(4.75mmol)を、実施例1Aの化合物と反応させる。生成物をシリカゲルのクロマトグラフィー(移動相:ジクロロメタン/メタノール=25:1)により精製する。これにより、所望の生成物3.10g(理論値の88%)を得る。
1H-NMR (400 MHz, DMSO-d6, δ/ppm): 8.98 (t, 1H), 7.71-7.63 (m, 6H), 7.52-7.38 (m, 8H), 7.25 (d, 1H), 7.20 (d, 1H), 7.10 (dd, 1H), 6.40 (t, 1H), 4.90-4.82 (m, 1H), 4.52 (s, 2H), 4.24 (t, 1H), 3.89 (dd, 1H), 3.71 (s, 3H), 3.64-3.59 (m, 2H), 1.07 (s, 9H).
HPLC (方法 3): Rt = 3.17 分.
MS (ESIpos, m/z): 728/730 (35Cl/37Cl) (M+H)+.
【0141】
実施例13A
3−({[tert−ブチル(ジフェニル)シリル]オキシ}メチル)−1−[4−ニトロ−2−(トリフルオロメチル)フェニル]ピリジン−2(1H)−オン
【化50】

実施例4Aと同様に、実施例3Aの化合物1.50g(4.13mmol)を、1−フルオロ−4−ニトロ−2−(トリフルオロメチル)ベンゼン949mg(4.54mmol)と反応させる。生成物をシリカゲルのクロマトグラフィー(移動相ペンタン/酢酸エチル=5:1)により精製し、表題化合物1.00g(理論値の44%)を得る。
1H-NMR (400 MHz, DMSO-d6, δ/ppm): 8.65 (dd, 1H), 8.61 (d, 1H), 7.92 (d, 1H), 7.78-7.74 (m, 1H), 7.67-7.63 (m, 4H), 7.61-7.58 (m, 1H), 7.62-7.41 (m, 6H), 6.52 (t, 1H), 4.58-4.50 (m, 2H), 1.06 (s, 9H).
HPLC (方法 4): Rt = 3.40 分.
MS (ESIpos, m/z): 553 (M+H)+.
【0142】
実施例14A
1−[4−アミノ−2−(トリフルオロメチル)フェニル]−3−({[tert−ブチル(ジフェニル)シリル]オキシ}メチル)ピリジン−2(1H)−オン
【化51】

実施例13Aの化合物1.00g(1.81mmol)を、実施例8Aと同様に水素化する。これにより、表題化合物930mg(理論値の98%)を得る。
1H-NMR (400 MHz, DMSO-d6, δ/ppm): 7.70-7.62 (m, 5H), 7.51-7.37 (m, 7H), 7.04 (d, 1H), 6.95 (d, 1H), 6.82 (dd, 1H), 6.37 (t, 1H), 5.85 (s, 2H), 4.51 (s, 2H), 1.06 (s, 9H).
HPLC (方法 3): Rt = 3.13 分.
MS (ESIpos, m/z): 523 (M+H)+.
【0143】
実施例15A
N−[((5S)−3−{4−[3−({[tert−ブチル(ジフェニル)シリル]オキシ}メチル)−2−オキソピリジン−1(2H)−イル]−3−(トリフルオロメチル)フェニル}−2−オキソ−1,3−オキサゾリジン−5−イル)メチル]−5−クロロチオフェン−2−カルボキサミド
【化52】

実施例6Aと同様に、実施例14Aの化合物930mg(1.78mmol)を、実施例1Aの化合物と反応させる。生成物を分取HPLCにより精製する。これにより、所望の生成物405mg(理論値の28%)を得る。
1H-NMR (400 MHz, DMSO-d6, δ/ppm): 8.97 (t, 1H), 8.11 (dd, 1H), 7.82 (dd, 1H), 7.75-7.71 (m, 1H), 7.68 (d, 1H), 7.67-7.63 (m, 4H), 7.55 (d, 1H), 7.53-7.41 (m, 7H), 7.19 (d, 1H), 6.45 (t, 1H), 4.93-4.85 (m, 1H), 4.57-4.48 (m, 2H), 4.29 (dt, 1H), 3.98-3.92 (m, 1H), 3.66-3.60 (m, 2H), 1.06 (s, 9H).
HPLC (方法 3): Rt = 3.25 分.
MS (ESIpos, m/z): 766/768 (35Cl/37Cl) (M+H)+.
【0144】
実施例16A
3−ブロモ−1−(2−クロロ−4−ニトロフェニル)ピリジン−2(1H)−オン
【化53】

3−ブロモピリジン−2(1H)−オン(O. S. Tee, M. Pavent, J. Am. Chem. Soc. 1982, 104, 4142-4146)2.00g(11.5mmol)を、DMF40mlに溶解する。混合物を0℃に冷却し、カリウムtert−ブトキシド2.04g(17.2mmol、95%濃度)を添加する。約15分後、氷浴を除去し、さらに30分後、2−クロロ−1−フルオロ−4−ニトロベンゼン2.22g(12.6mmol)を添加する。混合物を室温で4時間撹拌する。次いで、混合物を水に添加し、酢酸エチルで3回抽出する。合わせた有機相を飽和塩化ナトリウム溶液と振盪し、硫酸ナトリウムで乾燥させる。溶媒を減圧下で除去し、残渣をペンタンに懸濁し、吸引濾過する。得られる固体をシクロヘキサン/酢酸エチル10:1と共に沸騰させる。生成物を吸引濾過し、シクロヘキサン/酢酸エチル10:1で洗浄する。これにより、所望の化合物2.54g(理論値の67%)を得る。
1H-NMR (400 MHz, DMSO-d6, δ/ppm): 8.57 (d, 1H), 8.37 (dd, 1H), 8.11 (dd, 1H), 7.94 (d, 1H), 7.73 (dd, 1H), 6.39 (t, 1H).
HPLC (方法 3): Rt = 1.76 分.
MS (ESIpos, m/z): 329/331 (35Cl/37Cl) (M+H)+.
【0145】
実施例17A
1−(4−アミノ−2−クロロフェニル)−3−ブロモピリジン−2(1H)−オン
【化54】

実施例16Aの化合物2.00g(6.07mmol)を、メタノール80mlに溶解する。塩化スズ二水和物6.83g(30.3mmol)を添加し、混合物を還流下で2時間加熱する。次いで、溶液を濃縮する。残渣を、シリカゲルでのカラム濾過(移動相ジクロロメタン:メタノール=25:1)の後に、酢酸エチルに溶解し、飽和重炭酸ナトリウム溶液と振盪する。有機相を硫酸ナトリウムで乾燥させ、濃縮する。これにより、表題化合物1.60mg(理論値の87%)を得る。
1H-NMR (400 MHz, DMSO-d6, δ/ppm): 8.00 (dd, 1H), 7.56 (dd, 1H), 7.08 (d, 1H), 6.73 (d, 1H), 6.58 (dd, 1H), 6.22 (t, 1H), 5.71 (s, 2H).
HPLC (方法 5): Rt = 1.69 分.
MS (ESIpos, m/z): 299/301 (35Cl/37Cl) (M+H)+.
【0146】
実施例18A
N−({(5S)−3−[4−(3−ブロモ−2−オキソピリジン−1(2H)−イル)−3クロロフェニル]−2−オキソ−1,3−オキサゾリジン−5−イル}メチル)−5クロロチオフェン−2−カルボキサミド
【化55】

実施例17Aの化合物1.60g(5.34mmol)を、先ず、アセトニトリル25mlに0℃で加え、実施例1Aの化合物1.28g(5.88mmol)を添加する。過塩素酸マグネシウム1.79g(8.01mmol)を添加し、混合物を室温で20時間撹拌する。次いで、さらに0.38g(1.76mmol)の実施例1Aの化合物および0.54g(2.4mmol)の過塩素酸マグネシウムを添加し、混合物をさらに20時間撹拌する。次いで、CDI1.30g(8.01mmol)およびDMAP65mg(0.53mmol)を添加する。混合物を60℃で20時間加熱し、次いで減圧下で濃縮し、水および酢酸エチルを添加する。有機相を除去し、硫酸ナトリウムで乾燥させ、濃縮する。生成物をメタノールから再結晶する。これにより、表題化合物1.32g(理論値の45%)を得る。
1H-NMR (400 MHz, DMSO-d6, δ/ppm): 8.97 (t, 1H), 8.06 (dd, 1H), 7.88 (dd, 1H), 7.69 (d, 1H), 7.66-7.56 (m, 3H), 7.20 (d, 1H), 6.31 (t, 1H), 4.92-4.85 (m, 1H), 4.25 (t, 1H), 3.91 (dd, 1H), 3.65-3.60 (m, 2H).
HPLC (方法 4): Rt = 2.37 分.
【0147】
実施例19A
3−アリル−1−(2−クロロ−4−ニトロフェニル)ピリジン−2(1H)−オン
【化56】

実施例16Aの化合物1.00g(3.03mmol)、フッ化セシウム922mg(6.07mmol)、および[1,1‘−ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン]パラジウムジクロリド124mg(152mmol)を、先ず、脱気したTHF20mlに加える。2−アリル−4,4,5,5テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン765mg(4.55mmol)を滴下して添加し、混合物を還流で終夜加熱する。飽和重炭酸ナトリウム溶液を添加し、混合物を酢酸エチルで3回抽出する。合わせた有機相を硫酸ナトリウムで乾燥させ、濃縮する。生成物を分取HPLCにより精製し、表題化合物616mg(理論値の70%)を得る。
1H-NMR (400 MHz, DMSO-d6, δ/ppm): 8.54 (d, 1H), 8.34 (dd, 1H), 7.86 (d, 1H), 7.50 (dd, 1H), 7.42-7.39 (m, 1H), 6.37 (t, 1H), 6.01-5.90 (m, 1H), 5.15-5.06 (m, 2H), 3.20 (d, 2H).
HPLC (方法 5): Rt = 2.22 分.
MS (ESIpos, m/z): 291/293 (35Cl/37Cl) (M+H)+.
【0148】
実施例20A
3−アリル−1−(4−アミノ−2−クロロフェニル)ピリジン−2(1H)−オン
【化57】

実施例17Aと同様に、実施例19Aの化合物815mg(2.80mmol)を、塩化スズで還元する。これにより、表題化合物737mg(理論値の99%)を得る。
1H-NMR (400 MHz, DMSO-d6, δ/ppm): 7.34-7.27 (m, 2H), 7.02 (d, 1H), 6.72 (d, 1H), 6.57 (dd, 1H), 6.21 (t, 1H), 6.00-5.89 (m, 1H), 5.64 (s, ブロード, 2H), 5.13-5.04 (m, 2H), 3.16 (d, 2H).
HPLC (方法 3): Rt = 1.70 分.
MS (ESIpos, m/z): 261/263 (35Cl/37Cl) (M+H)+.
【0149】
実施例21A
N−({(5S)−3−[4−(3−アリル−2−オキソピリジン−1(2H)−イル)−3クロロフェニル]−2−オキソ−1,3−オキサゾリジン−5−イル}メチル)−5クロロチオフェン−2−カルボキサミド
【化58】

実施例18Aと同様に、実施例20Aの化合物735mg(2.82mmol)を、実施例1Aの生成物と反応させる。生成物をメタノールからの再結晶により精製する。これにより、所望の生成物826mg(理論値の58%)を得る。
1H-NMR (400 MHz, DMSO-d6, δ/ppm): 8.98 (t, 1H), 7.86 (d, 1H), 7.69 (d, 1H), 7.62-7.57 (m, 1H), 7.51 (d, 1H), 7.43-7.39 (m, 1H), 7.37-7.34 (m, 1H), 7.20 (d, 1H), 6.30 (t, 1H), 6.01-5.90 (m, 1H), 5.14-5.07 (m, 2H), 4.92-4.85 (m, 1H), 4.25 (t, 1H), 3.90 (dd, 1H), 3.65-3.60 (m, 2H), 3.19 (d, 2H).
HPLC (方法 3): Rt = 2.22 分.
MS (ESIpos, m/z): 504/506/508 (35Cl2/35Cl37Cl/37Cl2) (M+H)+.
【0150】
実施例22A
3−ブロモ−1−(2−メチル−4−ニトロフェニル)ピリジン−2(1H)−オン
【化59】

3−ブロモピリジン−2(1H)−オン44.5g(280mmol)を、無水ジメチルスルホキシド750mlに溶解し、カリウムtert−ブトキシド33.4g(298mmol)を少しずつ室温で添加する。懸濁液をこの温度で1時間撹拌し、次いで、1−フルオロ−2−メチル−4−ニトロベンゼン38.5g(280mmol)を添加し、反応溶液を80℃で20時間加熱する。溶液を放冷し、注意深く水で希釈する。得られる結晶性沈殿を濾過し、少量の水で洗浄し、減圧下で乾燥させる。これにより、所望の生成物62g(理論値の80%)を得る。
1H-NMR (400 MHz, DMSO-d6, δ/ppm): δ = 8.34 (d, 1H), 8.21 (dd, 1H), 8.10 (dd, 1H), 7.71-7.63 (m, 2H), 6.36 (t, 1H), 2.17 (s, 3H).
LC-MS (方法 3): Rt = 1.72 分
MS (ESIpos): m/z = 309 (M+H)+
【0151】
実施例23A
1−(2−メチル−4−ニトロフェニル)−3−ビニルピリジン−2(1H)−オン
【化60】

実施例22Aの化合物50g(162mmol)を、無水ジオキサン700mlに溶解し、トリブチルビニルスズ62g(194mmol)およびテトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム4.7g(4mmol)を添加し、混合物を還流で15時間加熱する。混合物を放冷し、珪藻土で濾過する。濾過ケーキを酢酸エチルで洗浄し、合わせた濾液を減圧下で蒸発乾固する。残渣をシリカゲルにアプライし、シリカゲル800gで、シクロヘキサンと酢酸エチルのグラジエントを使用してクロマトグラフィーする。これにより、所望の生成物27g(理論値の62%)を得る。
1H-NMR (400 MHz, DMSO-d6, δ/ppm): δ = 8.35 (d, 1H), 8.2 (dd, 1H), 7.75 (dd, 1H), 7.60 (d, 1H), 7.55 (dd, 1H), 6.75 (dd, 1H), 6.45 (t, 1H), 6.15 (dd, 1H), 5.3 (dd, 1H), 2.17 (s, 3H).
LC-MS (方法 4): Rt = 1.86 分
MS (ESIpos): m/z = 257 (M+H)+
【0152】
実施例24A
3−(2−ヒドロキシエチル)−1−(2−メチル−4−ニトロフェニル)ピリジン−2(1H)−オン
【化61】

氷冷しながら、テトラヒドロフラン650ml中の9−ボラビシクロ[3.3.1]ノナン40g(326mmol)の溶液を、45分間かけて、実施例23Aの化合物38g(148mmol)に添加する。混合物をこの温度でさらに1時間撹拌し、次いで、水740ml中の水酸化ナトリウム30g(747mmol)の溶液を、15分間かけて添加する。濃度30%の過酸化水素溶液151mlを、温度が30℃を超えないように添加する。添加終了後、冷却を止め、撹拌をさらに30分間継続する。混合物を酢酸エチルで繰り返し抽出し、合わせた有機相を二亜硫酸ナトリウム780g(1.63mol)の溶液で洗浄し、有機相を分離し、水相を再度酢酸エチルで抽出する。合わせた有機相を飽和塩化ナトリウム溶液で洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥させ、減圧下で蒸発乾固する。残渣をシリカゲルにアプライし、シクロヘキサンと酢酸エチルのグラジエントを使用してクロマトグラフィーする。生成物を含有する画分を合わせ、減圧下で乾燥するまで濃縮する。これにより、所望の生成物38g(理論値の93%)を得る。
1H-NMR (400 MHz, DMSO-d6, δ/ppm): δ = 8.33 (d, 1H), 8.18 (d, 1H), 7.57 (d, 1H), 7.48-7.40 (m, 2H), 6.33 (t, 1H), 4.58 (t, 1H), 3.62-3.50 (m, 2H), 2.62 (t, 2H), 2.15 (s, 3H).
LC-MS (方法 6): Rt = 1.57 分
MS (ESIpos): m/z = 275 (M+H)+
【0153】
実施例25A
3−(2−{[tert−ブチル(ジフェニル)シリル]オキシ}エチル)−1−(2−メチル−4−ニトロフェニル)ピリジン−2(1H)−オン
【化62】

実施例24Aの化合物38g(138mmol)を、無水N,N−ジメチルホルムアミド200mlに溶解し、イミダゾール12.2g(198mmol)および、少しずつ、tert−ブチル(クロロ)ジフェニルシラン46g(135mmol)を0℃で添加する。混合物を終夜撹拌し、次いで水で希釈し、酢酸エチルで3回抽出する。合わせた有機相を飽和塩化ナトリウム溶液で2回洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥させ、濾過し、減圧下で蒸発させる。残渣をシリカゲルにアプライし、シクロヘキサンと酢酸エチルのグラジエントを使用してクロマトグラフィーする。生成物を含有する画分を合わせ、減圧下で蒸発乾固する。これにより、所望の生成物62g(理論値の88%)を得る。
LC-MS (方法 5): Rt = 3.18 分
MS (ESIpos): m/z = 483 (M+H)+
【0154】
実施例26A
1−(4−アミノ−2−メチルフェニル)−3−(2−{[tert−ブチル(ジフェニル)シリル]オキシ}エチル)ピリジン−2(1H)−オン
【化63】

実施例25Aの化合物62g(121mmol)を、エタノールと酢酸エチルの1:1混合物2lに溶解し、ギ酸アンモニウム46g(726mmol)およびパラジウム/炭素0.6gを添加する。混合物を80℃で加熱する。45分後、混合物を放冷し、シリカゲルで濾過する。濾過ケーキを酢酸エチルで洗浄し、濾液を減圧下で蒸発乾固する。これにより、所望の生成物36g(理論値の61%)を得る。
LC-MS (方法 7): Rt = 1.84 分
MS (ESIpos): m/z = 221 (M+H)+
【0155】
実施例27A
N−[((5S)−3−{4−[3−(2−{[tert−ブチル(ジフェニル)シリル]オキシ}エチル)−2−オキソピリジン−1(2H)−イル]−3−メチル−フェニル}−2−オキソ−1,3−オキサゾリジン−5−イル)メチル]−5−クロロチオフェン−2−カルボキサミド
【化64】

実施例26Aの化合物35.6g(74.1mmol)を、無水アセトニトリル800mlに溶解し、実施例1Aの化合物19g(89mmol)を0℃で添加する。過塩素酸マグネシウム25g(110mmol)を添加し、冷却を止め、混合物を室温で15時間撹拌する。1,1−カルボニルジイミダゾール24mg(148mmol)およびN,N−ジメチルアミノピリジン180mg(1.4mmol)を添加し、混合物を還流で2時間加熱する。混合物を放冷し、溶媒を減圧下で留去する。次いで、残渣を酢酸エチルに取り、水で、そして、飽和塩化ナトリウム溶液で3回洗浄する。硫酸マグネシウムで乾燥させた後、混合物を濾過し、減圧下で蒸発乾固する。残渣をシリカゲルにアプライし、シクロヘキサンと酢酸エチルのグラジエントを使用してクロマトグラフィーする。生成物を含有する画分を合わせ、減圧下で蒸発乾固する。これにより、所望の生成物46.4g(理論値の84%)を得る。
LC-MS (方法 5): Rt = 3.31 分
MS (ESIpos): m/z = 700 (M+H)+
【0156】
実施例28A
3−ブロモ−1−(2−メトキシ−4−ニトロフェニル)ピリジン−2(1H)−オン
【化65】

3−ブロモピリジン−2(1H)−オン70g(403mmol)を、無水ジメチルスルホキシド1lに溶解し、カリウムtert−ブトキシド54g(484mmol)を室温で添加する。懸濁液をこの温度で1時間撹拌する。1−フルオロ−2−メトキシ−4−ニトロベンゼン69g(403mmol)を添加し、反応溶液を80℃で20時間加熱する。注意深く、混合物を水5lで希釈する。沈殿した固体を濾過し、水で洗浄し、減圧下で乾燥させる。これにより、所望の生成物103g(理論値の72%)を得る。
1H-NMR (400 MHz, DMSO-d6, δ/ppm): δ = 8.05 (dd, 1H), 8.1 (d, 1H), 7.95 (dd, 1H), 7.7 (d, 1H), 7.6 (dd, 1H), 6.3 (t, 1H), 3.9 (s, 3H).
MS (ESIpos): m/z = 342 (M+NH4)+
【0157】
実施例29A
1−(2−メトキシ−4−ニトロフェニル)−3−ビニルピリジン−2(1H)−オン
【化66】

実施例28Aの化合物100g(308mmol)を、無水ジオキサン1.4lに溶解し、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム8.9g(7.7mmol)およびトリブチルビニルスズ117g(370mmol)を添加する。混合物を還流で16時間加熱する。次いで、反応溶液を放冷し、珪藻土で濾過する。濾液を減圧下で乾燥するまで濃縮する。シクロヘキサンと酢酸エチルのグラジエントを使用して、残渣をシリカゲルでクロマトグラフィーする。生成物を含有する画分を合わせ、減圧下で乾燥するまで濃縮する。結晶化が起こるまで石油エーテルを添加する。結晶を濾過し、減圧下で乾燥させる。これにより、所望の生成物37g(理論値の41%)を得る。
1H-NMR (400 MHz, DMSO-d6, δ/ppm): δ = 8.0 (m, 2H), 7.7 (m, 2H), 7.5 (dd, 1H), 6.7 (q, 1H), 6.4 (t, 1H), 6.1 (dd, 1H), 5.3 (dd, 1H), 3.9 (s, 3H).
MS (ESIpos): m/z = 273 (M+H)+
【0158】
実施例30A
3−(2−ヒドロキシエチル)−1−(2−メトキシ−4−ニトロフェニル)ピリジン−2(1H)−オン
【化67】

0℃で、テトラヒドロフラン600ml中の9−ボラビシクロ[3.3.1]ノナン36g(299mmol)の溶液を、45分間かけて、実施例29Aの化合物37g(136mmol)に添加する。この温度でさらに1時間後、水酸化ナトリウム溶液(1N、水中)27g(680mmol)を15分間かけて添加する。混合物をさらに5分間撹拌し、次いで、濃度30%の過酸化水素溶液125mlを、温度が30℃を超えないように添加する。冷却を止め、混合物をさらに30分間撹拌する。混合物を酢酸エチルで繰り返し抽出し、合わせた有機相を、二亜硫酸ナトリウム溶液730g(1.50mol)で洗浄し、有機相を分離し、水相を酢酸エチルで再抽出する。合わせた有機相を飽和塩化ナトリウム溶液で洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥させ、減圧下で蒸発乾固する。残渣をシリカゲルに吸収させ、シクロヘキサンと酢酸エチルのグラジエントを使用してクロマトグラフィーする。生成物画分を合わせ、減圧下で蒸発乾固する。結晶化のために、tert−ブチルメチルエーテルを添加する。結晶を濾過し、減圧下で乾燥させる。これにより、所望の生成物24g(理論値の60%)を得る。
1H-NMR (400 MHz, DMSO-d6, δ/ppm): δ = 8.0 (d, 1H), 7.95 (dd, 1H), 7.6 (d, 1H), 7.4 (d, 1H), 6.35 (t, 1H), 4.6 (t, 1H), 3.9 (s, 3H), 3.55 (m, 2H), 2.6 (m, 2H).
MS (ESIpos): m/z = 291 (M+H)+
【0159】
実施例31A
3−(2−{[tert−ブチル(ジフェニル)シリル]オキシ}エチル)−1−(2−メトキシ−4−ニトロフェニル)ピリジン−2(1H)−オン
【化68】

実施例30Aの化合物24g(81mmol)を、無水N,N−ジメチルホルムアミド200mlに溶解し、イミダゾール7.2g(106mmol)およびtert−ブチル(クロロ)ジフェニルシラン27g(98mmol)を添加する。16時間後、混合物を水1.2lで希釈し、酢酸エチルで3回抽出する。合わせた有機相を水で2回洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥させ、濾過し、減圧下で濃縮する。結晶化のために、tert−ブチルメチルエーテルを添加し、得られる結晶を濾過し、減圧下で乾燥させる。これにより、所望の生成物30g(理論値の67%)を得る。
1H-NMR (400 MHz, DMSO-d6, δ/ppm): δ = 8.0 (d, 1H), 7.95 (dd, 1H), 7.6-7.5 (m, 5H), 7.5-7.4 (m, 8H), 6.35 (t, 1H), 3.8 (m, 5H), 2.7 (m, 2H), 1.0 (s, 9H).
【0160】
実施例32A
1−(4−アミノ−2−メトキシフェニル)−3−(2−{[tert−ブチル(ジフェニル)シリル]オキシ}エチル)ピリジン−2(1H)−オン
【化69】

実施例31Aの化合物25g(48mmol)を、エタノールと酢酸エチルの1:1混合物800mlに溶解し、ギ酸アンモニウム18g(286mmol)およびパラジウム/炭素800mgを添加する。混合物を80℃で加熱する。60分後、混合物を放冷し、シリカゲルで濾過する。濾過ケーキを酢酸エチルで洗浄し、濾液を減圧下で乾燥するまで濃縮する。これにより、所望の生成物27g(理論値の98%)を得る。
1H-NMR (400 MHz, DMSO-d6, δ/ppm): δ = 7.6 (m, 4H), 7.4 (m, 6H), 7.3 (dd, 1H), 7.25 (dd, 1H), 6.75 (d, 1H), 6.3 (d, 1H), 6.2 (dd, 1H), 6.1 (t, 1H), 5.3 (b, 2H), 3.8 (m, 2H), 3.6 (s, 3H), 2.7 (m, 2H), 1.0 (s, 9H).
MS (ESIpos): m/z = 499 (M+H)+
【0161】
実施例33A
N−{[(5S)−3−{4−[3−(2−{[tert−ブチル(ジフェニル)シリル]オキシ}エチル)−2−オキソピリジン−1(2H)−イル]−3−メトキシ−フェニル}−2−オキソ−1,3−オキサゾリジン−5−イル]メチル}−5−クロロチオフェン−2−カルボキサミド
【化70】

実施例32Aの化合物29g(58mmol)を、無水アセトニトリル600mlに溶解し、実施例1Aの化合物15g(69mmol)を0℃で添加する。過塩素酸マグネシウム19g(87mmol)を添加し、冷却を止め、混合物を室温で15時間撹拌する。次いで、1,1−カルボニルジイミダゾール19.0g(116mmol)およびN,N−ジメチルアミノピリジン141mg(1.21mmol)を添加し、混合物を還流で加熱する。2時間後、混合物を放冷し、溶媒を減圧下で留去する。残渣を酢酸エチルに取り、水で洗浄し、飽和塩化ナトリウム溶液で3回洗浄する。硫酸マグネシウムで乾燥させた後、混合物を濾過し、減圧下で蒸発乾固する。残渣をシリカゲルで、シクロヘキサンと酢酸エチルのグラジエントを使用してクロマトグラフィーする。生成物を含有する画分を合わせ、減圧下で乾燥するまで濃縮する。これにより、所望の生成物37g(理論値の85%)を得る。
1H-NMR (400 MHz, DMSO-d6): δ = 9.0 (t, 1H), 7.7 (d, 1H), 7.6 (m, 4H), 7.5-7.3 (m, 9H), 7.2 (m, 2H), 7.1 (m, 1H), 6.2 (t, 1H), 4.8 (m, 1H), 4.4 (t, 1H), 3.9 (m, 1H), 3.8 (b, 2H), 3.7 (s, 3H), 3.65 (m, 2H), 2.7 (m, 2H), 1.0 (s, 9H).
LC-MS (方法 8): Rt = 4.53 分
MS (ESIpos): m/z = 742 (M+H)+
【0162】
実施例34A
2−(ブロモメチル)−1−フルオロ−4−ニトロベンゼン
【化71】

2−フルオロ−5−ニトロトルエン186g(1.20mol)を、四塩化炭素1.2lに溶解し、N−ブロモスクシンイミド214g(1.20mol)を添加する。アゾジイソブチロニトリル19.7g(120mmol)を添加し、混合物を還流下で加熱する。16時間後、混合物を放冷し、濾過し、減圧下で蒸発乾固する。残渣をジクロロメタン300mlに溶解し、シーサンド(sea sand)300gを添加する。次いで、もう一度、混合物を減圧下で乾燥するまで濃縮し、残渣を1kgのシリカゲルカラムにアプライする。シクロヘキサンと酢酸エチルの20:1混合物を使用して生成物をクロマトグラフィーし、生成物画分を減圧下で蒸発乾固する。残渣をシクロヘキサンで結晶化し、減圧下で乾燥させる。これにより、所望の生成物92g(理論値の32%)を得る。
1H-NMR (400 MHz, DMSO-d6, δ/ppm): δ = 8.57-8.52 (m, 1H), 8.33-8.27 (m, 1H), 7.56 (t, 1H), 4.62 (s, 2H).
GC-MS (方法 9): Rt = 7.79 分
MS (ESIpos): m/z = 154 (M-Br)+
【0163】
実施例35A
1−フルオロ−2−(メトキシメチル)−4−ニトロベンゼン
【化72】

実施例34Aの化合物30g(128mmol)を、無水トルエン1.3lに溶解し、酸化銀(I)45g(192mmol)および無水メタノール24.6g(769mmol)を添加する。混合物を60℃で16時間加熱する。次いで、混合物を放冷し、シリカゲルで濾過する。シクロヘキサンとシクロヘキサン/酢酸エチル25:1のグラジエントを使用して、生成物を分画的に溶出する。生成物画分を減圧下で蒸発乾固し、減圧下で乾燥させる。これにより、所望の生成物17g(理論値の72%)を得る。
1H-NMR (400 MHz, DMSO-d6, δ/ppm): δ = 8.41-8.36 (m, 1H), 8.22-8.16 (m, 1H), 7.26 (t, 1H), 4.58 (s, 2H), 3.49 (s, 3H).
GC-MS (方法 9): Rt = 6.52 分
MS (ESIpos): m/z = 154 (M-OCH3)+
【0164】
実施例36A
3−ブロモ−1−[2−(メトキシメチル)−4−ニトロフェニル]ピリジン−2(1H)−オン
【化73】

3−ブロモ−2−ヒドロキシピリジン38g(391mmol)を、無水ジメチルスルホキシド1250mlに溶解し、カリウムtert−ブトキシド53g(469mmol)を少しずつ添加する。混合物をさらに1時間撹拌し、次いで、実施例35Aの化合物72.4g(391mmol)を添加する。添加終了後、混合物を80℃で3時間加熱する。次いで、混合物を放冷し、撹拌を室温でさらに16時間継続する。次いで、反応溶液を15℃に冷却し、この温度でpHを注意深く1N塩酸でpH=3に調節する。水4lを添加し、混合物を酢酸エチル2lで3回抽出する。合わせた有機相を飽和塩化ナトリウム溶液で洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥させる。次いで、溶液を減圧下で蒸発乾固し、tert−ブチルメチルエーテルを結晶化のために添加する。結晶を濾過し、減圧下で乾燥させる。これにより、所望の生成物94g(理論値の71%)を得る。
1H-NMR (400 MHz, DMSO-d6, δ/ppm): δ = 8.37 (d, 1H), 8.33 (dd, 1H), 8.10 (dd, 1H), 7.73-7.67 (m, 2H), 6.35 (t, 1H), 4.3 (q, 2H), 3.3 (s, 3H).
LC-MS (方法 6): Rt = 1.88 分
MS (ESIpos): m/z = 339 (M+H+)+
【0165】
実施例37A
1−[2−(メトキシメチル)−4−ニトロフェニル]−3−ビニルピリジン−2(1H)−オン
【化74】

実施例36Aの化合物94g(277mmol)を、無水ジオキサン1.2lに溶解し、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)8g(6.9mmol)を添加する。室温で、トリブチルビニルスズ105g(333mmol)をゆっくりと添加し、添加終了後、混合物を還流で21時間加熱する。反応溶液を放冷し、珪藻土で濾過する。濾過ケーキを酢酸エチルで洗浄し、合わせた有機濾液を減圧下で乾燥するまで濃縮する。残っている残渣をジクロロメタンに溶解し、珪藻土にアプライする。生成物を1.2kgのシリカゲルで、シクロヘキサンと酢酸エチルのグラジエントを使用してクロマトグラフィーする。生成物を含有する画分を合わせ、減圧下で乾燥するまで濃縮する。これにより、所望の生成物23g(理論値の29%)を得る。
1H-NMR (400 MHz, DMSO-d6, δ/ppm): δ = 8.36 (d, 1H), 8.31 (dd, 1H), 7.77 (dd, 1H), 7.67 (d, 1H), 7.56 (dd, 1H), 6.80-6.71 (m, 1H), 6.45 (t, 1H), 6.14 (dd, 1H), 5.33 (dd, 1H), 4.37-4.22 (m, 2H), 3.26 (s, 3H).
LC-MS (方法 6): Rt = 2.07 分
MS (ESIpos): m/z = 387 (M+H+)+
【0166】
実施例38A
3−(2−ヒドロキシエチル)−1−[2−(メトキシメチル)−4−ニトロフェニル]ピリジン−2(1H)−オン
【化75】

実施例37Aの化合物23g(80mmol)を、無水テトラヒドロフラン80mlに溶解し、5℃に冷却する。15分間かけて、9−ボラビシクロ[3.3.1]ノナン(0.5M溶液、テトラヒドロフラン中)21g(176mmol)を添加する。冷却を止め、混合物を室温でさらに2時間撹拌する。次いで、混合物を再度5℃に冷却し、1N水酸化ナトリウム水溶液400mlを添加する。添加終了後、30%濃度過酸化水素溶液81mlをこの温度で少しずつ添加する。酢酸エチル500mlで希釈した後、混合物を40%濃度重亜硫酸ナトリウム溶液32mlで洗浄して過酸化物を破壊する。有機相を分離し、水相を酢酸エチルで4回抽出する。合わせた有機相を飽和塩化ナトリウム溶液で洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥させ、濾過後、減圧下で乾燥するまで濃縮する。残渣をシリカゲルで、シクロヘキサンと酢酸エチルのグラジエントを使用してクロマトグラフィーする。生成物を含有する画分を合わせ、減圧下で乾燥するまで濃縮する。これにより、所望の生成物20g(理論値の77%)を得る。
1H-NMR (400 MHz, DMSO-d6, δ/ppm): δ = 8.36 (d, 1H), 8.30 (dd, 1H), 7.62 (d, 1H), 7.45 (d, 1H), 6.33 (t, 1H), 4.60 (t, 1H), 4.35-4.20 (m, 2H), 3.62-3.55 (m, 2H), 3.32 (s, 3H), 2.62 (t, 2H).
LC-MS (方法 8): Rt = 1.60 分
MS (ESIpos): m/z = 305 (M+H+)+
【0167】
実施例39A
3−(2−{[tert−ブチル(ジフェニル)シリル]オキシ}エチル)−1−[2−(メトキシメチル)−4−ニトロフェニル]ピリジン−2(1H)−オン
【化76】

実施例38Aの化合物20g(65mmol)を、無水N,N−ジメチルホルムアミド75mlに溶解し、冷却しながら、先ずイミダゾール5.3g(78mmol)を、次いで、少しずつ、3分間かけて、tert−ブチルジフェニルクロロシラン19g(72mmol)を添加する。冷却を止め、混合物を室温でさらに19時間撹拌する。反応溶液を酢酸エチルで希釈し、水で3回、飽和塩化ナトリウム溶液で2回洗浄する。次いで、混合物を硫酸マグネシウムで乾燥させ、濾過し、減圧下で乾燥するまで濃縮する。tert−ブチルメチルエーテルを残渣に添加し、得られる結晶を濾過し、減圧下で乾燥させる。これにより、所望の生成物39g(理論値の90%)を得る。
1H-NMR (400 MHz, DMSO-d6, δ/ppm): δ = 8.35 (d, 1H), 8.31 (dd, 1H), 7.65-7.35 (m, 13H), 6.35 (t, 1H), 4.32-4.14 (m, 2H), 3.92-3.80 (m, 2H), 3.32 (s, 3H), 2.78-2.71 (m, 2H), 0.97 (s, 9H).
LC-MS (方法 8): Rt = 4.59 分
MS (ESIpos): m/z = 543 (M+H+)+
【0168】
実施例40A
1−[4−アミノ−2−(メトキシメチル)フェニル]−3−(2−{[tert−ブチル(ジフェニル)シリル]オキシ}エチル)ピリジン−2(1H)−オン
【化77】

実施例39Aの化合物25g(48mmol)を、酢酸エチル500mlおよびエタノール500mlに溶解する。ギ酸アンモニウム18g(286mmol)およびパラジウム/炭素1gを添加し、混合物を還流で45分間加熱する。次いで、反応溶液を放冷し、シリカゲルで濾過する。濾液を減圧下で乾燥するまで濃縮する。これにより、所望の生成物25g(理論値の100%)を得る。
1H-NMR (400 MHz, DMSO-d6, δ/ppm): δ = 7.65-7.20 (m, 12H), 6.79 (d, 1H), 6.68 (d, 1H), 6.54 (dd, 1H), 6.20 (t, 1H), 5.46-5.25 (m, 2H), 4.04-3.91 (m, 2H), 3.87-3.77 (m, 2H), 3.07 (s, 3H), 2.75-2.68 (m, 2H), 0.95 (s, 9H).
LC-MS (方法 6): Rt = 3.22 分
MS (ESIpos): m/z = 513 (M+H+)+
【0169】
実施例41A
N−{[(5S)−3−{4−[3−(2−{[tert−ブチル(ジフェニル)シリル]オキシ}エチル)−2−オキソピリジン−1(2H)−イル]−3−(メトキシ−メチル)フェニル}−2−オキソ−1,3−オキサゾリジン−5−イル]メチル}−5−クロロチオフェン−2−カルボキサミド
【化78】

実施例40Aの化合物25g(47mmol)を、無水アセトニトリル500mlに溶解し、実施例1Aの化合物15g(61mmol)および過塩素酸マグネシウム16g(71mmol)を添加する。混合物を室温で5時間撹拌し、次いで、さらに1g(4.1mmol)の実施例1Aの化合物を添加する。21時間後、カルボニルジイミダゾール15.3g(95mmol)および4−ジメチルアミノピリジン116mg(0.65mmol)を添加し、混合物を還流で3.5時間加熱する。次いで、溶媒を減圧下で除去し、残渣を酢酸エチル800mlに取る。溶液を水で洗浄し、飽和塩化ナトリウム溶液で2回洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥させ、次いで減圧下で濃縮する。残渣をシリカゲルで、シクロヘキサンと酢酸エチルのグラジエントを使用して分離する。生成物を含有する画分を合わせ、減圧下で乾燥するまで濃縮する。これにより、所望の生成物26.5g(理論値の72%)を得る。
1H-NMR (400 MHz, DMSO-d6, δ/ppm): δ = 9.00 (t, 1H), 7.73-7.35 (m, 15H), 7.23 (d, 1H), 7.19 (d, 1H), 6.28 (t, 1H), 4.90-4.81 (m, 1H), 4.28-3.80 (m, 6H), 3.62 (t, 2H), 3.11 (s, 3H), 2.79-2.71 (m, 2H), 0.97 (s, 9H).
LC-MS (方法 6): Rt = 3.39 分
MS (ESIpos): m/z = 756 (M+H+)+
【0170】
実施例42A
(2−フルオロ−5−ニトロベンジル)(トリフェニル)ホスホニウムブロミド
【化79】

実施例34Aの化合物20g(85.5mmol)を、無水トルエン250mlに溶解し、トリフェニルホスフィン22.4g(85.5mmol)を添加する。溶液を還流下で16時間加熱し、沈殿の形成をもたらす。混合物を放冷し、沈殿を濾過する。ジエチルエーテルで洗浄した後、沈殿を減圧下で乾燥させる。これにより、所望の生成物39g(理論値の92%)を得る。
1H-NMR (400 MHz, DMSO-d6, δ/ppm): δ = 8.30-8.23 (m, 1H), 7.98-7.88 (m, 4H), 7.81-7.70 (m, 12H), 7.45 (t, 1H), 5.32 (d, 2H).
【0171】
実施例43A
1−フルオロ−4−ニトロ−2−[プロプ−1−エン−1−イル]ベンゼン
【化80】

10℃で、ナトリウムビス(トリメチルシリル)アミド5.99g(32.7mmol)を、ジオキサン145ml中の実施例42Aの化合物13.5g(27.3mmol)の溶液に滴下して添加する。混合物をこの温度で1時間撹拌する。次いで、ジオキサン5ml中のアセトアルデヒド2.40g(54.5mmol)の溶液を添加し、反応を室温で1時間撹拌する。次いで、水400mlを添加し、混合物をジクロロメタンで3回抽出し、合わせた有機相を飽和塩化ナトリウム水溶液で2回洗浄する。硫酸ナトリウムで乾燥させ、続いて濾過した後、溶媒を減圧下で除去する。生成物をシリカゲルのクロマトグラフィー(移動相:シクロヘキサン/酢酸エチル=40:1)により精製する。これにより、所望の生成物5.2g(理論値の100%)を、E/Z異性体混合物として得る。
1H-NMR (400 MHz, DMSO-d6, δ/ppm): δ = 8.47-8.05 (m, 2H), 7.58-7.42 (m, 1H), 6.70-6.05 (m, 2H), 1.90-1.78 (m, 3H).
GC-MS (方法 10): Rt = 2.64 および 2.70 分
MS (ESIpos): m/z = 181 (M+H+)+
【0172】
実施例44A
3−ブロモ−1−{4−ニトロ−2−[(1E)−プロプ−1−エン−1−イル]フェニル}ピリジン−2(1H)−オン
【化81】

3−ブロモピリジン−2(1H)−オン0.96g(5.52mmol)を、DMSO17mlに溶解する。混合物を0℃に冷却し、カリウムtert−ブトキシド1.00g(5.52mmol)を、内部温度が30℃を超えないように添加する。室温で1時間後、DMSO5ml中の実施例43Aの化合物1.00g(5.52mmol)の溶液を添加する。80℃で3時間後、水200mlおよび塩化ナトリウム溶液50mlを添加し、混合物を酢酸エチルで3回抽出する。合わせた有機相を飽和塩化ナトリウム溶液で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥させる。溶媒を減圧下で除去し、生成物をシリカゲルのクロマトグラフィー(移動相:シクロヘキサン/酢酸エチル=4:1)により精製する。これにより、所望の化合物935mg(理論値の49%)を、E/Z異性体混合物として得る。
1H-NMR (400 MHz, DMSO-d6, δ/ppm): 8.52-8.27 (m, 1H), 8.22-8.16 (m, 1H), 8.13-8.04 (m, 1H), 7.76-7.61 (m, 2H), 6.65-5.90 (m, 3H), 1.83-1.69 (m, 3H).
HPLC (方法 1): Rt = 4.20 分.
MS (DCI, m/z): 335 (M+H)+.
【0173】
実施例45A
1−{4−ニトロ−2−[(1E)−プロプ−1−エン−1−イル]フェニル}−3ビニルピリジン−2(1H)−オン
【化82】

実施例44Aの化合物929mg(2.77mmol)を、無水ジオキサン14mlに溶解し、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)64mg(0.06mmol)を添加する。室温で、トリブチルビニルスズ1.06g(3.33mmol)をゆっくりと添加し、添加終了後、混合物を還流で21時間加熱する。反応溶液を放冷し、珪藻土で濾過する。次いで、濾過ケーキを酢酸エチルで洗浄し、合わせた有機濾液を減圧下で乾燥するまで濃縮する。生成物をシリカゲルのクロマトグラフィー(移動相:シクロヘキサン/酢酸エチル=4:1)により精製する。これにより、所望の生成物568mg(理論値の70%)を得る。
1H-NMR (400 MHz, DMSO-d6, δ/ppm): 8.52-8.24 (m, 1H), 8.21-8.14 (m, 1H), 7.78-7.58 (m, 2H), 6.79-6.68 (m, 1H), 6.65-6.52 (m, 1H), 6.47-6.38 (m, 1H), 6.20-5.90 (m, 3H), 5.39-5.28 (m, 1H), 1.83-1.70 (m, 3H).
HPLC (方法 1): Rt = 4.33 分
MS (ESIpos): m/z = 283 (M+H+)+
【0174】
実施例46A
3−(2−ヒドロキシエチル)−1−{4−ニトロ−2−[(1E)−プロプ−1−エン−1−イル]フェニル}ピリジン−2(1H)−オン
【化83】

実施例45Aの化合物452g(1.60mmol)を、無水テトラヒドロフラン1.7mlに溶解し、0℃に冷却する。9−ボラビシクロ[3.3.1]ノナン(0.5M溶液、テトラヒドロフラン中)488mg(176mmol)をゆっくりと添加し、混合物を室温で2時間撹拌する。次いで、混合物を再度0℃に冷却し、1N水酸化ナトリウム水溶液8mlをゆっくりと添加する。添加終了後、30%濃度過酸化水素溶液1.6mlをこの温度で滴下して添加する。混合物を0℃で30分間撹拌し、次いで40%濃度重亜硫酸ナトリウム溶液1.3mlで洗浄して過酸化物を破壊し、酢酸エチル500mlで希釈する。有機相を除去し、水相を酢酸エチルで2回抽出する。合わせた有機相を飽和塩化ナトリウム溶液で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過後、減圧下で乾燥するまで濃縮する。生成物をシリカゲルのクロマトグラフィー(移動相:シクロヘキサン/酢酸エチル=2:1)により精製する。これにより、所望の生成物514mg(理論値の100%)を得る。
1H-NMR (400 MHz, DMSO-d6, δ/ppm): 8.51-8.24 (m, 1H), 8.22-8.14 (m, 1H), 7.68-7.55 (m, 1H), 7.48-7.36 (m, 2H), 6.61-6.50 (m, 1H), 6.37-6.26 (m, 1H), 6.09-6.86 (m, 1H), 4.63-4.56 (m, 1H), 3.63-3.54 (m, 2H), 2.65-2.56 (m, 2H), 1.83-1.69 (m, 3H).
HPLC (方法 1): Rt = 3.71 分
MS (ESIpos): m/z = 301 (M+H+)+
【0175】
実施例47A
1−(4−アミノ−2−プロピルフェニル)−3−(2−ヒドロキシエチル)ピリジン−2(1H)−オン
【化84】

実施例46Aの化合物520mg(1.73mmol)を、THF10mlに溶解する。パラジウム/炭素30mgを添加し、室温で、水素雰囲気中、大気圧下で混合物を水素化する。次いで、混合物を珪藻土で濾過し、濾過ケーキをTHFで3回洗浄し、濾液から溶媒を除去する。反応生成物をさらに精製せずにさらに反応させる。これにより、所望の生成物471mg(理論値の89%)を得る。
HPLC (方法 1): Rt = 3.00 分
MS (ESIpos): m/z = 273 (M+H+)+
【0176】
実施例48A
3−アリル−1−(2−メチル−4−ニトロフェニル)ピリジン−2(1H)−オン
【化85】

加熱乾燥させたフラスコ中、実施例22Aの化合物1.50g(4.85mmol)、フッ化セシウム1.44g(9.46mmol)、および、テトラキス−(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)0.561g(0.48mmol)を、先ず、脱気したTHFに加える。脱気したTHF5ml中の2−アリル−4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン2.04g(12.1mmol)の溶液を滴下して添加し、混合物を還流で終夜加熱する。次いで、混合物をジクロロメタンで希釈し、水を添加する。相分離後、水相をジクロロメタンで3回抽出する。合わせた有機相を硫酸ナトリウムで乾燥させ、濃縮する。生成物をシリカゲルのクロマトグラフィーにより精製し、表題化合物1.18g(理論値の62%)を得る。
1H-NMR (400 MHz, DMSO-d6, δ/ppm): 8.31 (d, 1H), 8.18 (dd, 1H), 7.57 (d, 1H), 7.46 (dd, 1H), 7.44-7.38 (m, 1H), 6.35 (t, 1H), 5.96 (dddd, 1H), 5.16-5.06 (m, 2H), 3.20 (d, 2H), 2.15 (s, 3H).
HPLC (方法 2): Rt = 4.05 分.
MS (ESIpos, m/z): 271 (M+H)+.
【0177】
実施例49A
3−(3−ヒドロキシプロピル)−1−(2−メチル−4−ニトロフェニル)ピリジン−2(1H)−オン
【化86】

0℃で、THF中の0.5モル濃度9−ボラビシクロ[3.3.1]ノナン溶液18.5ml(9.25mmol)を、ゆっくりと滴下して、THF4ml中の実施例48Aの化合物1.00g(3.70mmol)に添加する。室温で1時間後、混合物を再度0℃に冷却し、水中の1モル濃度水酸化ナトリウム溶液18.5ml(18.5mmol)を滴下して添加する。混合物を0℃でさらに30分間撹拌し、次いで、30%濃度過酸化水素溶液3.24mlを、温度が30℃を超えないように添加する。混合物を氷冷しながら30分間撹拌し、次いで、酢酸エチル、続いて重亜硫酸ナトリウム溶液11g(40mmol)を添加する。有機相を分離し、水相を酢酸エチルで2回抽出する。合わせた有機相を飽和塩化ナトリウム水溶液で洗浄する。有機相を硫酸ナトリウムで乾燥させ、次いで、減圧下で蒸発乾固する。残渣をシリカゲルでクロマトグラフィーする(シクロヘキサン/酢酸エチル1:4)。これにより、所望の生成物1.03g(理論値の83%)を得る。
1H-NMR (400 MHz, DMSO-d6, δ/ppm): δ = 8.31 (d, 1H), 8.18 (dd, 1H), 7.66-7.51 (m, 1H), 7.47-7.38 (m, 2H), 6.33 (t, 1H), 4.46 (t, 1H), 3.46-3.38 (q, 2H), 2.52-2.45 (m, 2H), 2.15 (s, 3H), 1.73-1.62 (m, 2H).
HPLC (方法 1): Rt = 3.51 分.
MS (DCI, m/z) = 289 (M+H)+
【0178】
実施例50A
1−(4−アミノ−2−メチルフェニル)−3−(3−ヒドロキシプロピル)ピリジン−2(1H)−オン
【化87】

実施例49Aの化合物475mg(1.65mmol)をTHF48mlに溶解する。次いで、パラジウム/炭素50mg(0.05mmol)を添加し、室温で、水素雰囲気中、大気圧下で混合物を水素化する。次いで、混合物を濾過し、濾過ケーキをTHFで3回洗浄し、濾液から溶媒を除去する。反応生成物をさらに精製せずにさらに反応させる。
HPLC (方法 1): Rt = 2.82 分.
MS (DCI, m/z): 259 (M+H)+.
【0179】
実施例51A
3−ブロモ−1−(2,6−ジメチル−4−ニトロフェニル)ピリジン−2(1H)−オン
【化88】

3−ブロモピリジン−2(1H)−オン(O. S. Tee, M. Pavent, J. Am. Chem. Soc. 1982, 104, 4142-4146.)2.81g(16.1mmol)を、DMF100mlに溶解する。混合物を0℃に冷却し、カリウムtert−ブトキシド2.71g(24.2mmol)を添加する。氷浴を除去し、混合物を室温で30分間撹拌する。1−フルオロ−2,5−ジメチル−4−ニトロベンゼン3.00g(17.7mmol)を添加し、混合物を80℃で18時間、100℃で36時間、そして120℃で18時間撹拌する。次いで、混合物を水に添加し、酢酸エチルで3回抽出する。合わせた有機相を硫酸ナトリウムで乾燥させる。残渣をシリカゲルのクロマトグラフィー(シクロヘキサン/酢酸エチル4:1)により精製する。これにより、所望の化合物2.04g(理論値の38%)を得る。
1H-NMR (400 MHz, DMSO-d6, δ/ppm): δ = 8.19 (s, 2H), 8.14 (dd, 1H), 7.62 (dd, 1H), 6.43 (t, 1H), 2.11 (s, 6H).
HPLC (方法 1): Rt = 4.13 分.
MS (ESIpos, m/z): 323 (M+H)+.
【0180】
実施例52A
1−(2,6−ジメチル−4−ニトロフェニル)−3−ビニルピリジン−2(1H)−オン
【化89】

実施例51Aの化合物2.00g(6.19mmol)を、無水ジオキサン31mlに溶解し、トリブチルビニルスズ2.36g(7.42mmol)およびテトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム143mg(0.124mmol)を添加し、混合物を100℃で5時間撹拌する。混合物を放冷し、珪藻土で濾過する。濾過ケーキを酢酸エチルで3回洗浄し、合わせた濾液を減圧下で乾燥するまで濃縮する。残渣をシリカゲルのクロマトグラフィー(シクロヘキサン/酢酸エチル4:1)により精製する。これにより、所望の生成物846mg(理論値の51%)を得る。
1H-NMR (400 MHz, DMSO-d6, δ/ppm): δ = 8.17 (s, 2H), 7.78 (dd, 1H), 7.48 (dd, 1H), 6.75 (dd, 1H), 6.48 (dd, 1H), 6.14 (dd, 1H), 5.33 (dd, 1H), 2.10 (s, 6H).
HPLC (方法 1): Rt = 4.25 分
MS (ESIpos): m/z = 271 (M+H)+
【0181】
実施例53A
1−(2,6−ジメチル−4−ニトロフェニル)−3−(2−ヒドロキシエチル)ピリジン−2(1H)−オン
【化90】

氷冷しながら、テトラヒドロフラン14.8ml中の9−ボラビシクロ[3.3.1]ノナン902mg(7.40mmol)の溶液を、実施例52Aの化合物800mg(2.96mmol)に添加する。混合物を室温で3時間撹拌し、次いで0℃に冷却し、水酸化ナトリウム591mg(14.8mmol)の水溶液を15分間かけて添加する。30%濃度過酸化水素溶液2.60mlを、温度が30℃を超えないように添加する。添加終了後、混合物を0℃で30分間撹拌する。氷冷しながら、水12ml中の重亜硫酸ナトリウム8.73g(32.6mol)の溶液を、反応混合物に添加する。混合物を酢酸エチル50mlで希釈し、有機相を除去し、水相を酢酸エチルで2回抽出する。合わせた有機相を飽和塩化ナトリウム溶液で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥させ、減圧下で蒸発乾固する。残渣をシリカゲルのクロマトグラフィー(シクロヘキサン/酢酸エチル1:2)により精製する。これにより、所望の生成物765mg(理論値の89%)を得る。
1H-NMR (400 MHz, DMSO-d6, δ/ppm): δ = 8.15 (s, 2H), 7.46 (dd, 1H), 7.35 (dd, 1H), 6.37 (dd, 1H), 4.62 (dd, 1H), 4.25 (d, 1H), 2.62 (dd, 2H), 2.08 (s, 6H).
HPLC (方法 1): Rt = 3.59 分
MS (ESIpos): m/z = 289 (M+H)+
【0182】
実施例54A
3−(2−{[tert−ブチル(ジフェニル)シリル]オキシ}エチル)−1−(2,6−ジメチル−4−ニトロフェニル)ピリジン−2(1H)−オン
【化91】

実施例53Aの化合物760mg(2.64mmol)およびトリエチルアミン0.55ml(3.9mmol)を無水N,N−ジメチルホルムアミド7mlに溶解する。4−ジメチルアミノピリジン16mg(0.13mmol)およびtert−ブチル(クロロ)ジフェニルシラン1.09g(3.95mmol)を添加し、混合物を室温で2時間撹拌する。次いで、混合物を水に添加し、相分離後、酢酸エチルで3回抽出する。合わせた有機相を水で2回洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、減圧下で蒸発させる。残渣をシリカゲルのクロマトグラフィー(シクロヘキサン/酢酸エチル5:1)により精製する。これにより、所望の生成物971mg(理論値の58%)を得る。
HPLC (方法 2): Rt = 5.97 分
MS (ESIpos): m/z = 527 (M+H)+
【0183】
実施例55A
1−(4−アミノ−2,6−ジメチルフェニル)−3−(2−{[tert−ブチル(ジフェニル)シリル]オキシ}エチル)ピリジン−2(1H)−オン
【化92】

実施例54Aの化合物970mg(1.84mmol)を、THF20mlに溶解する。次いで、パラジウム/炭素200mgを添加し、室温で、水素雰囲気中、大気圧下で混合物を水素化する。次いで、混合物を珪藻土で濾過し、濾過ケーキをTHFで3回洗浄し、濾液から溶媒を除去する。反応生成物(1.00g)を、さらに精製せずにさらに反応させる。
HPLC (方法 2): Rt = 4.99 分
MS (ESIpos): m/z = 497 (M+H)+
【0184】
実施例56A
N−[((5S)−3−{4−[3−(2−{[tert−ブチル(ジフェニル)シリル]オキシ}エチル)−2−オキソピリジン−1(2H)−イル]−3,5−ジメチル−フェニル}−2−オキソ−1,3−オキサゾリジン−5−イル)メチル]−5−クロロチオフェン−2−カルボキサミド
【化93】

実施例55Aの化合物800mg(1.61mmol)を、無水アセトニトリル15mlに溶解し、実施例1Aの化合物385g(1.77mmol)および過塩素酸マグネシウム539mg(2.41mmol)を添加する。混合物を室温で5.5時間撹拌する。次いで、1,1−カルボニルジイミダゾール652mg(4.03mmol)およびN,N−ジメチルアミノピリジン19mg(0.16mmol)を添加し、混合物を還流で18時間加熱する。混合物を放冷し、水100mlおよび酢酸エチル100mlに添加する。相分離後、水相を酢酸エチルで2回抽出し、合わせた有機相を硫酸ナトリウムで乾燥させる。濾過後、混合物を減圧下で蒸発乾固する。残渣をシリカゲルのクロマトグラフィー(シクロヘキサン/酢酸エチル1:2)により精製する。これにより、所望の生成物664mg(理論値の55%)を得る。
1H-NMR (400 MHz, DMSO-d6, δ/ppm): δ = 8.99 (t, 1H), 7.70 (d, 1H), 7.63-7.45 (m, 4H), 7.48-7.31 (m, 9H), 7.28 (dd, 1H), 7.20 (d, 1H), 6.32 (t, 1H), 4.90-4.81 (m, 1H), 4.22 (dd, 1H), 3.89-3.82 (m, 3H), 3.62 (t, 2H), 2.76 (dd, 2H), 1.94 (s, 6H), 0.95 (s, 9H).
HPLC (方法 2): Rt = 5.92 分
MS (ESIpos): m/z = 740 (M+H)+
【0185】
実施例
実施例1
5−クロロ−N−{[(5S)−3−{3−クロロ−4−[3−(ヒドロキシメチル)−2−オキソピリジン−1(2H)−イル]フェニル}−2−オキソ−1,3−オキサゾリジン−5−イル]メチル}チオフェン−2−カルボキサミド
【化94】

フッ化テトラブチルアンモニウム367mg(1.41mmol;1モル濃度、THF中)を、THF8ml中の実施例6Aの化合物515mg(0.703mmol)の溶液に添加する。室温で3時間後、混合物を水、飽和塩化ナトリウム水溶液および酢酸エチルで希釈する。水相を酢酸エチルで抽出し、合わせた有機相を硫酸ナトリウムで乾燥させる。濾過後、混合物から溶媒を除去し、残渣をシリカゲルのクロマトグラフィー(ジクロロメタン/メタノール20:1)により精製する。これにより、所望の生成物278mg(理論値の78%)を得る。
1H-NMR (400 MHz, DMSO-d6, δ/ppm): 8.97 (t, 1H), 7.87 (dd, 1H), 7.69 (d, 1H), 7.59 (ddd, 1H), 7.56-7.48 (m, 2H), 7.46-7.38 (m, 1H), 7.20 (d, 1H), 6.37 (dd, 1H), 5.15 (dd, 1H), 4.93-4.82 (m, 1H), 4.33 (br. d, 2H), 4.24 (dd, 1H), 3.90 (dd, 1H), 3.62 (dd, 2H).
HPLC (方法 2): Rt = 3.88 分.
MS (DCI, m/z): 494 (M+H)+.
【0186】
実施例2
5−クロロ−N−[((5S)−3−{4−[3−(ヒドロキシメチル)−2−オキソピリジン−1(2H)−イル]−3−メチルフェニル}−2−オキソ−1,3−オキサゾリジン−5−イル)メチル]チオフェン−2−カルボキサミド
【化95】

実施例9Aの化合物530mg(0.74mmol)を、THF9mlに溶解する。THF中の1モル濃度フッ化テトラブチルアンモニウム溶液1.5mlを添加し、混合物を室温で30分間撹拌する。少量の水を添加し、混合物を濃縮し、生成物を分取HPLCにより精製する。これにより、所望の生成物335mg(理論値の93%)を得る。
1H-NMR (400 MHz, DMSO-d6, δ/ppm): 9.00 (t, 1H), 7.70 (d, 1H), 7.55-7.49 (m, 3H), 7.39 (d, 1H), 7.23 (d, 1H), 7.20 (d, 1H), 6.36 (t, 1H), 5.14 (s, ブロード, 1H), 4.90-4.82 (m, 1H), 4.38-4.29 (m, 2H), 4.22 (t, 1H), 3.91-3.85 (m, 1H), 3.62 (t, 2H), 2.01 (s, 3H).
HPLC (方法 3): Rt = 1.66 分.
MS (ESIpos, m/z): 474/476 (35Cl/37Cl) (M+H)+.
【0187】
実施例3
5−クロロ−N−[((5S)−3−{4−[3−(ヒドロキシメチル)−2−オキソピリジン−1(2H)−イル]−3−メトキシフェニル}−2−オキソ−1,3−オキサゾリジン−5−イル)メチル]チオフェン−2−カルボキサミド
【化96】

実施例2と同様に、実施例12Aの化合物491mg(0.67mmol)を、THF中のフッ化テトラブチルアンモニウムを用いて脱シリル化する。生成物を分取HPLCにより精製する。これにより、所望の生成物287mg(理論値の87%)を得る。
1H-NMR (400 MHz, DMSO-d6, δ/ppm): 9.02 (t, 1H), 7.71 (d, 1H), 7.50-7.46 (m, 1H), 7.45 (d, 1H), 7.34 (dd, 1H), 7.26 (d, 1H), 7.20 (d, 1H), 7.12 (dd, 1H), 6.29 (t, 1H), 5.11 (s, ブロード, 1H), 4.91-4.83 (m, 1H), 4.30 (s, ブロード, 2H), 4.25 (t, 1H), 3.91 (dd, 1H), 3.73 (s, 3H), 3.65-3.60 (m, 2H).
HPLC (方法 3): Rt = 1.63 分.
MS (ESIpos, m/z): 490/492 (35Cl/37Cl) (M+H)+.
【0188】
実施例4
5−クロロ−N−({(5S)−3−[4−[3−(ヒドロキシメチル)−2−オキソピリジン−1(2H)−イル]−3−(トリフルオロメチル)フェニル]−2−オキソ−1,3−オキサゾリジン−5−イル}メチル)チオフェン−2−カルボキサミド
【化97】

実施例2と同様に、実施例15Aの化合物370mg(0.48mmol)を、THF中のフッ化テトラブチルアンモニウムを用いて脱シリル化する。生成物を分取HPLCにより精製する。これにより、所望の生成物200mg(理論値の78%)を得る。
1H-NMR (400 MHz, DMSO-d6, δ/ppm): 8.99 (t, 1H), 8.13 (d, 1H), 7.83 (dt, 1H), 7.69 (d, 1H), 7.56 (d, 1H), 7.53 (dd, 1H), 7.47-7.42 (m, 1H), 7.20 (d, 1H), 6.35 (t, 1H), 5.17 (t, 1H), 4.94-4.86 (m, 1H), 4.33-4.27 (m, 3H), 3.99-3.93 (m, 1H), 3.67-3.61 (m, 2H).
HPLC (方法 3): Rt = 1.82 分.
MS (ESIpos, m/z): 528/530 (35Cl/37Cl) (M+H)+.
【0189】
実施例5
5−クロロ−N−[((5S)−3−{3−クロロ−4−[3−(2−ヒドロキシエチル)−2オキソピリジン−1(2H)−イル]フェニル}−2−オキソ−1,3−オキサゾリジン−5−イル)メチル]チオフェン−2−カルボキサミド
【化98】

実施例21Aの化合物400mg(0.79mmol)を、THF6mlと水4mlの混合物に溶解する。tert−ブタノール中の2.5モル濃度四酸化オスミウム溶液161mg(0.016mmol)および過ヨウ素酸ナトリウム509mg(2.38mmol)を添加し、混合物を室温で20時間撹拌する。次いで、混合物を水で希釈し、ジクロロメタンで抽出し、乾燥させ、濃縮する。残渣をTHF4mlと水4mlの混合物に溶解し、水素化ホウ素ナトリウム30.0mg(0.79mmol)を添加する。混合物を室温で1時間撹拌し、次いで水で希釈し、ジクロロメタンで抽出する。有機相を乾燥させ、濃縮し、分取HPLCにより精製する。これにより、所望の生成物47mg(理論値の12%)を得る。
1H-NMR (400 MHz, DMSO-d6, δ/ppm): 8.97 (t, 1H), 7.85 (d, 1H), 7.69 (d, 1H), 7.62-7.56 (m, 1H), 7.51-7.47 (m, 1H), 7.42-7.36 (m, 2H), 7.20 (d, 1H), 6.27 (t, 1H), 4.92-4.84 (m, 1H), 4.59 (t, 1H), 4.24 (t, 1H), 3.90 (dd, 1H), 3.65-3.55 (m, 4H), 3.18-3.15 (m, 2H).
HPLC (方法 5): Rt = 1.94 分.
MS (ESIpos, m/z): 508/510 (35Cl2/35Cl37Cl) (M+H)+.
【0190】
実施例6
5−クロロ−N−[((5S)−3−{4−[3−(2−ヒドロキシエチル)−2−オキソピリジン−1(2H)−イル]−3−メチルフェニル}−2−オキソ−1,3−オキサゾリジン−5−イル)メチル]チオフェン−2−カルボキサミド
【化99】

氷冷しながら、メタノール中の1.25N塩酸400mlを、実施例27Aの化合物43.8g(60.3mmol)に添加する。1時間後、混合物をジクロロメタンで希釈し、次いで水相を除去する。有機相を水で2回洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過後、減圧下で乾燥するまで濃縮する。残渣をシリカゲルにアプライし、シクロヘキサンと酢酸エチルのグラジエントを使用してクロマトグラフィーする。生成物を含有する画分を合わせ、減圧下で乾燥するまで濃縮する。これにより、所望の生成物19.6g(理論値の66%)を得る。
1H-NMR (400 MHz, DMSO-d6, δ/ppm): δ = 8.98 (t, 1H), 7.70 (d, 1H), 7.55-7.47 (m, 2H), 7.40 (dd, 1H), 7.35 (dd, 1H), 7.25-7.17 (m, 2H), 6.26 (t, 1H), 4.90-4.82 (m, 1H), 4.60 (t, 1H), 4.22 (t, 1H), 3.92-3.84 (m, 1H), 3.66-3.54 (m, 4H), 2.60 (t, 2H), 2.01 (s, 3H).
LC-MS (方法 5): Rt = 1.87 分
MS (ESIpos): m/z = 488 (M+H)+
【0191】
実施例7
5−クロロ−N−{[(5S)−3−{4−[3−(2−ヒドロキシエチル)−2−オキソピリジン−1(2H)−イル]−3−メトキシフェニル}−2−オキソ−1,3−オキサゾリジン−5−イル]メチル}チオフェン−2−カルボキサミド
【化100】

0℃で、実施例33Aの化合物37g(49mmol)を、メタノール中の1.25N塩酸313mlに溶解する。1時間後、溶液を減圧下で蒸発させ、ジクロロメタンで希釈する。有機相を水で2回洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥させ、濾過後、減圧下で蒸発乾固する。残渣をシリカゲルで、ジクロロメタンとメタノールのグラジエントを使用してクロマトグラフィーする。生成物画分を合わせ、減圧下で蒸発乾固する。これにより、所望の生成物19g(理論値の78%)を得る。
1H-NMR (400 MHz, DMSO-d6, δ/ppm): δ = 9.00 (t, 1H), 7.70 (d, 1H), 7.45 (d, 1H), 7.35 (dd, 1H), 7.31 (dd, 1H), 7.25 (d, 1H), 7.20 (d, 1H), 7.15-7.08 (m, 1H), 6.19 (t, 1H), 4.91-4.83 (m, 1H), 4.60 (t, 1H), 4.25 (t, 1H), 3.94-3.87 (m, 1H), 3.74 (s, 3H), 3.66-3.53 (m, 4H), 2.62-2.55 (m, 2H).
MS (ESIpos): m/z = 504 (M+H)+
【0192】
実施例8
N−{[(5S)−3−{4−[3−(2−{[tert−ブチル(ジフェニル)シリル]オキシ}エチル)−2−オキソピリジン−1(2H)−イル]−3−(メトキシメチル)フェニル}−2−オキソ−1,3−オキサゾリジン−5−イル]メチル}−5−クロロチオフェン−2カルボキサミド
【化101】

氷冷しながら、メタノール中の1.25N塩酸135mlを、実施例41Aの化合物27g(34mmol)に添加する。混合物をこの温度でさらに45分間撹拌する。氷冷しながら、1N水酸化ナトリウム水溶液を使用してpHを7に調節し、冷却した溶液をジクロロメタンで繰り返し抽出する。合わせた有機相を飽和塩化ナトリウム溶液で洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥させる。混合物を減圧下で蒸発乾固し、ジクロロメタンとメタノールのグラジエントを使用して、残渣をシリカゲルでクロマトグラフィーする。生成物を含有する画分を合わせ、減圧下で乾燥するまで濃縮する。これにより、所望の生成物16.4g(理論値の89%)を得る。
1H-NMR (400 MHz, DMSO-d6, δ/ppm): δ = 8.98 (t, 1H), 7.72-7.66 (m, 2H), 7.62-7.56 (m, 1H), 7.40 (dd, 1H), 7.36 (dd, 1H), 7.27 (d, 1H), 7.20 (d, 1H), 6.25 (t, 1H), 4.90-4.82 (m, 1H), 4.60 (t, 1H), 4.27-4.08 (m, 3H), 3.94-3.87 (m, 1H), 3.65-3.55 (m, 4H), 3.18 (s, 3H), 2.60 (t, 2H).
LC-MS (方法 6): Rt = 1.96 分
MS (ESIpos): m/z = 518 (M+H+)+
【0193】
実施例9
5−クロロ−N−{[(5S)−3−{4−[3−(2−ヒドロキシエチル)−2−オキソピリジン−1(2H)−イル]−3−プロピルフェニル}−2−オキソ−1,3−オキサゾリジン−5−イル]メチル}チオフェン−2−カルボキサミド
【化102】

実施例47Aの化合物450mg(1.65mmol)を、無水アセトニトリル10mlに溶解し、実施例1Aの化合物395mg(1.82mmol)および過塩素酸マグネシウム552mg(2.47mmol)を添加する。混合物を室温で3.5時間撹拌する。次いで、カルボニルジイミダゾール669mg(4.13mmol)および4−ジメチルアミノピリジン20mg(0.16mmol)を添加し、混合物を還流で3時間加熱する。室温で18時間後、4−ジメチルアミノピリジン10mg(0.08mmol)を添加し、混合物を60℃で6時間撹拌する。次いで、混合物を水100mlに添加し、酢酸エチル50mlで希釈する。相分離後、水相を酢酸エチル50mlで2回抽出する。合わせた有機相を飽和塩化ナトリウム溶液で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥させ、次いで減圧下で濃縮する。残渣を分取HPLCにより、アセトニトリル/水混合物を使用して精製する。これにより、所望の生成物28mg(理論値の3%)を得る。
1H-NMR (400 MHz, DMSO-d6, δ/ppm): δ = 8.98 (t, 1H), 7.70 (d, 1H), 7.54-7.45 (m, 2H), 7.40-7.31 (m, 2H), 7.23-7.17 (m, 2H), 6.25 (t, 1H), 4.90-4.81 (m, 1H), 4.22 (dd, 1H), 3.92-3.85 (m, 1H), 3.65-3.50 (m, 4H), 2.62-2.58 (m, 2H), 2.28 (t, 2H), 1.50-1.32 (m, 2H), 0.77 (t, 3H).
HPLC (方法 2): Rt = 4.11 分
MS (DCI, m/z) = 516 (M+H)+
【0194】
実施例10
5−クロロ−N−{[(5S)−3−{4−[3−(3−ヒドロキシプロピル)−2−オキソピリジン−1(2H)−イル]−3−メチルフェニル}−2−オキソ−1,3−オキサゾリジン−5−イル]メチル}チオフェン−2−カルボキサミド
【化103】

実施例50Aの化合物580mg(2.24mmol)を、無水アセトニトリル12.7mlに溶解し、実施例1Aの化合物538mg(2.47mmol)および過塩素酸マグネシウム751mg(3.37mmol)を添加する。混合物を室温で3.5時間撹拌する。次いで、カルボニルジイミダゾール437mg(2.69mmol)および4−ジメチルアミノピリジン27mg(0.23mmol)を添加し、混合物を還流で18時間加熱する。次いで、混合物を水100mlに添加し、酢酸エチル50mlで3回抽出する。合わせた有機相を飽和塩化ナトリウム溶液で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥させ、次いで、減圧下で濃縮する。残渣を分取HPLCにより精製する。これにより、所望の生成物175mg(理論値の16%)を得る。
1H-NMR (400 MHz, DMSO-d6, δ/ppm): δ = 8.99 (t, 1H), 7.70 (d, 1H), 7.57-7.47 (m, 2H), 7.40-7.31 (m, 2H), 7.23 (d, 1H), 7.20 (d, 1H), 6.26 (t, 1H), 4.90-4.81 (m, 1H), 4.46 (dd, 1H), 4.22 (t, 1H), 3.91-3.85 (m, 1H), 3.62 (t, 2H), 3.42 (ddd, 2H), 3.31 (s, 1H), 2.48-2.42 (m, 1H), 2.01 (s, 3H), 1.67 (ddd, 2H).
HPLC (方法 2): Rt = 3.92 分
MS (DCI, m/z) = 502 (M+H)+
【0195】
実施例11
5−クロロ−N−[((5S)−3−{4−[3−(2−ヒドロキシエチル)−2オキソピリジン−1(2H)−イル]−3,5−ジメチルフェニル}−2−オキソ−1,3オキサゾリジン−5−イル)メチル]チオフェン−2−カルボキサミド
【化104】

実施例56Aの化合物660mg(0.891mmol)を、THF20mlに溶解し、フッ化テトラブチルアンモニウム512mg(1.96mmol)を添加する。1時間後、混合物を減圧下で乾燥するまで濃縮する。残渣をシリカゲルのクロマトグラフィー(ジクロロメタン/メタノール10:1;1%トリエチルアミン)により精製する。これにより、所望の生成物396mg(理論値の85%)を得る。
1H-NMR (400 MHz, DMSO-d6, δ/ppm): δ = 8.98 (t, 1H), 7.69 (d, 1H), 7.42 (dd, 1H), 7.38 (d, 1H), 7.25 (dd, 1H), 7.19 (d, 1H), 6.29 (t, 1H), 4.90-4.81 (m, 1H), 4.60 (t, 1H), 4.20 (t, 1H), 3.86 (dd, 1H), 3.64-3.52 (m, 4H), 2.62 (t, 2H), 1.95 (s, 6H).
HPLC (方法 1): Rt = 3.92 分
MS (ESIpos): m/z = 502 (M+H)+
【0196】
B. 薬理活性の評価
本発明による化合物の血栓塞栓性障害の処置に対する適合性は、以下のアッセイ系を使用して立証できる:
a)試験の説明(インビトロ)
a.1)バッファー中でのXa因子阻害の測定
上記で列挙した物質のXa因子阻害を測定するために、Xa因子基質の変換をヒトXa因子の酵素活性の測定に使用する生物学的試験系を構築する。ここで、Xa因子は、アミノメチルクマリンをペプチド基質から切り離し、これが蛍光により測定される。測定はマイクロタイタープレートで実施する。
【0197】
試験物質を、様々な濃度でジメチルスルホキシドに溶解し、ヒトXa因子(50mmol/lトリスバッファー[C,C,C−トリス(ヒドロキシメチル)−アミノメタン]、100mmol/l塩化ナトリウム、5mmol/l塩化カルシウム、0.1%BSA[ウシ血清アルブミン]、pH7.4に溶解して、1.3nmol/l)と共に、22℃で30分間インキュベートする。次いで、基質(5μmol/l Boc−Ile−Glu−Gly−Arg−AMC、Bachem より)を添加する。30分間インキュベートした後、サンプルを波長360nmで励起し、460nmで発光を測定する。測定された試験物質を含む試験バッチの発光を、試験物質を含まない対照バッチ(ジメチルスルホキシド中の試験物質の代わりに、ジメチルスルホキシドのみ)と比較し、濃度/活性関係から、IC50値を算出する。
【0198】
a.2)バッファー中でのトロンビン阻害の測定
上記で列挙した物質のトロンビン阻害を測定するために、トロンビン基質の変換をヒトトロンビンの酵素活性の測定に使用する生物学的試験系を構築する。ここで、トロンビンは、アミノメチルクマリンをペプチド基質から切り離し、これが蛍光により測定される。測定はマイクロタイタープレートで実施する。
【0199】
試験物質を、様々な濃度でジメチルスルホキシドに溶解し、ヒトトロンビン(0.06nmol/l;50mmol/l トリスバッファー[C,C,C−トリス(ヒドロキシメチル)−アミノメタン]、100mmol/l塩化ナトリウム、0.1%BSA[ウシ血清アルブミン]、pH7.4に溶解)と共に、22℃で15分間インキュベートする。次いで、基質(5μmol/l Boc−Asp(OBzl)−Pro−Arg−AMC、Bachem より)を添加する。30分間インキュベートした後、サンプルを波長360nmで励起し、460nmで発光を測定する。測定された試験物質を含む試験バッチの発光を、試験物質を含まない対照バッチ(ジメチルスルホキシド中の試験物質の代わりに、ジメチルスルホキシドのみ)と比較し、濃度/活性関係から、IC50値を算出する。
【0200】
a.3)選択性の測定
トロンビンおよびXa因子の阻害に関して、物質の選択性を立証するために、XIIa因子、XIa因子、トリプシンおよびプラスミンなどの他のヒトセリンプロテアーゼの阻害について、試験物質を調べる。XIIa因子(10nmol/l、Kordia より)、XIa因子(0.4nmol/l、Kordia より)、トリプシン(83mU/ml、Sigma より)およびプラスミン(0.1μg/ml、Kordia より)の酵素活性の測定のために、これらの酵素を溶解し(50mmol/l トリスバッファー[C,C,C−トリス(ヒドロキシメチル)−アミノメタン]、100mmol/l塩化ナトリウム、0.1%BSA[ウシ血清アルブミン]、5mmol/l塩化カルシウム、pH7.4)、ジメチルスルホキシド中の様々な濃度の試験物質と、そして、試験物質を含まないジメチルスルホキシドと、15分間インキュベートする。次いで、適当な基質(XIIa因子には、H−Pro−Phe−Arg−AMC、Bachem より、トリプシンには、5μmol/l Boc−Ile−Glu−Gly−Arg−AMC、Bachem より、XIa因子には、5μmol/l Boc−Glu(OBzl)−Ala−Arg−AMC、Bachem より、プラスミンには、50μmol/l MeOSuc−Ala−Phe−Lys−AMC、Bachem より)の添加により酵素反応を開始する。22℃で30分間のインキュベーション時間の後、蛍光を測定する(励起:360nm、発光:460nm)。測定された試験物質を含む試験バッチの発光を、試験物質を含まない対照バッチ(ジメチルスルホキシド中の試験物質の代わりに、ジメチルスルホキシドのみ)と比較し、濃度/活性関係から、IC50値を算出する。
【0201】
a.4)血漿サンプルにおける可能性のある阻害剤のXa因子阻害活性の測定
Xa因子の阻害を血漿サンプルにおいて測定するために、血漿中に存在するX因子を、ガラガラヘビ毒素由来のプロテアーゼにより活性化する。次いで、Xa因子活性または可能性のある阻害剤によるその阻害を、発色基質の添加により測定する。
【0202】
様々な濃度の試験物質を、ジメチルスルホキシドに溶解し、レフルダン(refludan)水溶液(10μg/ml)と混合する。透明な平底の96ウェルのプレート中で、クエン酸血漿(Octapharma)30μlを、物質希釈物10μlと混合する。次いで、塩化カルシウム水溶液バッファー(塩化カルシウムの最終濃度0.05M)中のガラガラヘビ毒素(ラッセルクサリヘビ毒液(RVV);RVV試薬:Pentapharm 121-06、最終濃度0.6mU)の溶液20μlまたはRVV試薬を含まない塩化カルシウム水溶液(塩化カルシウムの最終濃度0.05M)20μl(刺激されないサンプルの基準として)を添加する。ChromozymX 基質(最終濃度1.6mmol/l、Bachem L-1565、水に希釈)20μlの添加後、サンプルを SpectraFluor Reader で、405nmの測定フィルターを使用して、20分間にわたり毎分、測定する。最大シグナルの約70%に達するときに(約12分)、IC50値を測定する。
【0203】
この試験の代表的な活性データを、下表1に挙げる:
表1
【表2】

【0204】
a.5)血漿サンプルにおける可能性のある阻害剤のトロンビン阻害活性の測定
様々な濃度の試験物質を、ジメチルスルホキシドに溶解し、水で希釈する。白色、平底の96ウェルのプレート中で、物質希釈物20μlを、Caバッファー(200mM Hepes+560mM塩化ナトリウム+10mM塩化カルシウム+0.4%PEG)中のエカリン(ecarin)溶液(エカリン試薬、Sigma E-0504より、最終濃度20mU/バッチ)20μlまたはCaバッファー(刺激されない対照として)20μlと混合する。さらに、蛍光発生性トロンビン基質(Bachem I-1120 より、最終濃度50μmol/l)20μlおよびクエン酸血漿20μl(Octapharma より)を添加し、徹底的に均質化する。プレートを SpectraFluor Reader で、360nmの励起フィルターと465nmの発光フィルターを使用して、20分間にわたり毎分、測定する。最大シグナルの約70%に達するときに(約12分)、IC50値を測定する。
【0205】
この試験の代表的な活性データを、下表2に挙げる:
表2
【表3】

【0206】
a.6)トロンビン生成アッセイ(トロンボグラム(thrombogram))
トロンボグラム(Hemker によるトロンビン生成アッセイ)に対する試験物質の効果を、インビトロで、ヒト血漿で測定する(Octaplas(登録商標)、Octapharma より)。Hemker によるトロンビン生成アッセイでは、凝固している血漿におけるトロンビンの活性を、基質I−1140(Z−Gly−Gly−Arg−AMC、Bachem)の蛍光切断生成物の測定により決定する。凝固反応を開始するために、Thrombinoscope の試薬(PPP試薬:30pM組換え組織因子、24μMリン脂質、HEPES中)を使用する。これらの反応を、変動する濃度の試験物質または対応する溶媒の存在下で実施する。さらに、Thrombinoscope のトロンビン標準物質を使用する。そのアミド分解活性は、血漿サンプル中のトロンビン活性の算出に必要とされる。
【0207】
この試験は、製造業者の仕様書(Thrombinoscope BV)に従い実施する:試験物質または溶媒4μl、血漿76μlおよびPPP試薬またはトロンビン標準物質20μlを、5分間37℃でインキュベートする。20mM Hepes、60mg/ml BSAおよび102mM塩化カルシウム中の2.5mMトロンビン基質20μlを添加した後、トロンビン生成を120分間にわたり、20秒毎に測定する。測定は、390/460nmフィルター対およびディスペンサーを備えた Thermo Electron の蛍光光度計 (Fluoroskan Ascent)を使用して実施する。Thrombinoscope のソフトウエアを使用して、トロンボグラムを算出し、図表化する。算出されるのは、以下のパラメーターである:遅延時間、ピークまでの時間、ピーク、ETP(内因性トロンビン生成能)およびスタートテール(start tail)。
【0208】
a.7)抗凝血活性の測定
試験物質の抗凝血活性を、インビトロで、ヒト血漿、ウサギ血漿およびラット血漿で測定する。この目的で、0.11モル濃度のクエン酸ナトリウム溶液をレシーバーとして使用して、クエン酸ナトリウム/血液の混合比1/9で、血液を採取する。血液を採取した直後に、それを徹底的に混合し、15分間約4000gで遠心分離する。上清をピペットで取る。
【0209】
プロトロンビン時間(PT、同義語:トロンボプラスチン時間、クイック試験)を、変動する濃度の試験物質または対応する溶媒の存在下で、購入できる試験キット(Neoplastin(登録商標)、Boehringer Mannheim より、または、Hemoliance(登録商標) RecombiPlastin、Instrumentation Laboratory より)を使用して測定する。試験化合物を、血漿と共に、37℃で、3分間インキュベートする。次いで、トロンボプラスチンの添加により凝固を開始させ、凝固が起こる時間を測定する。プロトロンビン時間を倍増させる試験物質の濃度を決定する。
【0210】
トロンビン時間(TT)を、変動する濃度の試験物質または対応する溶媒の存在下で、購入できる試験キット(Roche のトロンビン試薬)を使用して測定する。試験化合物を、血漿と37℃で3分間インキュベートする。次いで、トロンビン試薬の添加により凝固を開始させ、凝固が起こる時間を測定する。トロンビン時間を倍増させる試験物質の濃度を決定する。
【0211】
活性化部分トロンボプラスチン時間(APTT)を、変動する濃度の試験物質または対応する溶媒の存在下で、購入できる試験キット(Roche のPTT試薬)を使用して測定する。試験化合物を、血漿およびPTT試薬(セファリン、カオリン)と、37℃で3分間インキュベートする。次いで、25mM 塩化カルシウムの添加により凝固を開始させ、凝固が起こる時間を測定する。APTTを倍増させる試験物質の濃度を決定する。
【0212】
a.8)トロンボエラストグラフィー(トロンボエラストグラム(thromboelastogram))
Pentapharm のトロンボエラストグラフROTEMおよびその付属物、カップおよびピンを利用して、トロンボエラストグラフィーを実施する。測定は、事前に Sarstedt 社のクエン酸ナトリウムモノヴェット(monovettes)に採取した全血で実施する。モノヴェット中の血液を、シェーカーを使用して動かし続け、37℃で30分間、予めインキュベートする。塩化カルシウム水溶液の2モル濃度原液を調製する。これを濃度0.9%の塩化ナトリウム水溶液で1:10に希釈する。測定のために、この200mM塩化カルシウム溶液20μlを、先ず、カップに加える(塩化カルシウムの最終濃度12.5mM)。物質または溶媒3.2μlを添加する。全血300μlの添加により測定を開始する。添加後、ピペットのチップを使用して、気泡を生成させずに、混合物を短時間ピペットに吸い上げ、再度放出する。測定を2.5時間かけて実施するか、または、線維素溶解が起こったら停止する。評価のために、以下のパラメーターを測定する:CT(凝固時間/[秒])、CFT(凝固形成時間/[秒])、MCF(最大血餅硬度/[mm])およびアルファ角[°]。これらの測定事項を3秒毎に測定し、y軸にMCF[mm]、x軸に時間[秒]をとって図表化する。
【0213】
a.9)血栓に結合した凝固因子トロンビンおよびXa因子の阻害
血餅は、抗凝血剤による治療の開始前に、治療中断中に、または、治療にも拘わらず血栓形成の促進を利し得る多量の凝固因子を含有するときに、形成される。これらの凝固因子は、血栓に堅固に結合し、洗い流すことができない。ある種の臨床的状況では、これは、患者にとってのリスクをもたらし得る。下記で実施される試験は、生物学的(血栓促進性)活性を有するトロンビンとXa因子の両方を、ヒト血栓において実証できる。
【0214】
インビトロで形成される血栓
血栓をインビトロでヒト血漿から形成させ、結合した凝固因子トロンビンおよびXa因子の活性について調べる。この目的で、血漿300μlを、脂質小胞30μlおよび塩化カルシウム水溶液30μlと、48ウェルMTPプレート中で混合し、30分間インキュベートする。この段階および後続の段階を、37℃で、一定の振動(300rpm)で実施する。形成される血栓を新しい48ウェルMTPプレートに移し、濃度0.9%の塩化ナトリウム溶液で10分間にわたり2回洗浄し、洗浄段階中に血栓を濾紙に押し当てる。血栓をバッファーB(Owens Veronal Buffer、1%BSA)に移し、15分間インキュベートし、濾紙に押し当て、バッファーB中の様々な濃度の試験物質中で30分間インキュベートする。次いで血餅を上記の通りに2回洗浄する。血栓を押し当て、バッファーD:(240μl Owren's Veronal Buffer、1%BSAおよび15.6mM塩化カルシウム)に移し、0.6μMプロトロンビンの存在下または非存在下で、45分間インキュベートする。1%EDTA溶液75μlの添加により反応を停止する。トロンビン活性を、血栓中、バッファーA(7.5mM NaEDTAx2HO、175mM塩化ナトリウム、1%BSA、pH8.4)中で、または最終段階の上清中で、別々に測定する。この目的で、基質I−1120を最終濃度50μMで使用し、得られる蛍光を蛍光プレートリーダー(360/465nm)で測定する。
【0215】
この血栓に結合したトロンビンの活性は、治療的に意味のある濃度の選択的Xa因子阻害剤では抑制できない。対照的に、それは、IIa因子/Xa因子デュアル阻害剤またはIIa因子の参照阻害剤で阻害できる。
【0216】
プロトロンビンの添加後、血栓に結合したXa因子(プロトロンビナーゼ複合体)が存在するならば、新しいトロンビンが形成され、それは蛍光基質により検出される。この新たなトロンビン形成は、純粋なトロンビン阻害剤により防止され得ない;しかしながら、それは、IIa因子/Xa因子デュアル阻害剤により、または、選択的なXa因子の参照阻害剤により阻害され得る。
【0217】
血栓に結合したトロンビン活性の生物学的活性を、蛍光標識されたフィブリノーゲンの添加により試験する。それは、活性トロンビンによりフィブリンに変換され、血栓に結合する。この目的で、血栓を上記の通りに形成させ、Alexa488 で標識されたフィブリノーゲンの溶液(100μg/ml)250μlおよび100mM塩化カルシウム水溶液(様々な濃度の試験物質を含むか、または含まない)30μlの中でインキュベートする。上清の蛍光を、蛍光プレートリーダーにおいて、適する波長で測定する。さらに、血栓を4回、各場合で15分間洗浄し、蛍光顕微鏡で調べる。上清からの蛍光の減少および血栓の蛍光の増加は、IIa因子/Xa因子デュアル阻害剤により阻害できるが、Xa因子の参照阻害剤では阻害できない。
【0218】
インビボ(患者の物質)で形成される心臓内血栓
これらの実験を、心臓外科手術中に患者の左心室から取り出された血栓で繰り返す。この目的で、血栓を解凍し、2片に分けた(湿重量10−100mg)。プロトコールに応じて、血栓を繰り返し洗浄した後に、または、洗浄せずに使用し、上記の方法と同様に、基質I−1120(最終濃度100μM)を使用してトロンビン活性を測定する。
【0219】
a.10)エンドトキシン血症(endotoxaemic)のマウスおよびラットにおける凝血と臓器機能の障害の特定診断
トロンビン/アンチトロンビン複合体
トロンビン/アンチトロンビン複合体(以後、「TAT」と称する)は、凝血活性化により内因性に形成されるトロンビンの尺度である。TATは、ELISAアッセイを使用して測定される(Enzygnost TAT micro, Dade-Behring)。クエン酸血から遠心分離により血漿を得る。TATサンプルバッファー50μlを、血漿50μlに添加し、サンプルを短時間振盪し、室温で15分間インキュベートする。サンプルを吸引濾過し、ウェルを洗浄バッファー(300μl/ウェル)で3回洗浄する。洗浄中に、プレートを軽く叩いて液体を除去する。コンジュゲート溶液(100μl)を添加し、プレートを室温で15分間インキュベートする。サンプルを吸い出し、ウェルを洗浄バッファー(300μl/ウェル)で3回洗浄する。次いで、発色基質(100μl/ウェル)を添加し、プレートを暗所で、室温で、30分間インキュベートし、停止溶液を添加し(100μl/ウェル)、色の展開を492nmで測定する(Saphire プレートリーダー)。
【0220】
臓器機能のパラメーター
LPSの投与による様々な内部臓器の機能の制限に関して結論を得ることを可能にし、そして、試験物質の治療効果の評価を可能にする、様々なパラメーターを測定する。クエン酸血、または、必要に応じて、リチウム/ヘパリン血を遠心分離し、血漿からパラメーターを測定する。典型的には、以下のパラメーターを測定する:クレアチニン、尿素、アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ(AST)、アラニンアミノトランスフェラーゼ(ALT)、総ビリルビン、乳酸デヒドロゲナーゼ(LDH)、総タンパク質、総アルブミンおよびフィブリノーゲン。これらの値は、腎臓、肝臓、心血管系および血管の機能に関する指標を与える。
【0221】
炎症のパラメーター
エンドトキシンにより引き起こされる炎症反応の程度は、血漿中の炎症メディエーター、例えば、インターロイキン(1、6、8および10)、腫瘍壊死因子アルファまたは単球走化性タンパク質−1の増加により検出できる。この目的で、ELISAまたはルミネックスシステムを使用し得る。
【0222】
b)抗血栓活性(インビボ)の測定
b.1)動静脈シャントおよび出血モデル(組み合わせモデル、ラット)
体重300−350gの絶食しているオスのラット(系統:HSD CPB:WU)を、イナクチン(150−180mg/kg)を使用して麻酔する。Christopher N. Berry et al., Br. J. Pharmacol. (1994), 113, 1209-1214 により記載された方法に従い、動静脈シャントにおいて、血栓形成を開始させる。この目的で、左頸静脈および右頸動脈を露出させる。長さ10cmのポリエチレンチューブ(PE60)を使用して、2本の血管を体外シャントにより連結する。中央で、このポリエチレンチューブを、ループを形成するように配列した粗いナイロン糸を含む長さ3cmのさらなるポリエチレンチューブ(PE160)に取り付け、血栓形成性表面を形成させる。体外循環を15分間維持する。次いでシャントを除去し、血栓を伴うナイロン糸の重さを直ちに測定する。ナイロン糸自体の重量は、実験開始前に測定する。
【0223】
出血時間を測定するために、シャント循環を開いた直後に、ラットの尾の先端をカミソリの刃を使用して3mm切り落とす。次いで、尾を37℃の温度に維持した生理食塩水中に入れ、傷口からの出血を15分間にわたり観察する。測定するのは、少なくとも30秒間の出血停止までの時間(初期出血時間)、15分間の期間における総出血時間(累積出血時間)、および、回収したヘモグロビンの測光的測定による定量的血液喪失である。
【0224】
体外循環を設置し、尾の先端を切り落とす前に、反対側の頸静脈を介して静脈内に、単回ボーラスまたは後続の継続的点滴を伴うボーラスとして、または、咽頭チューブを使用して経口で、試験物質を意識のある動物に投与する。
【0225】
c)薬物動態の測定(インビボ)
インビボの薬物動態を測定するために、試験物質を様々な製剤化組成物(例えば、血漿、エタノール、DMSO、PEG400など)またはこれらの可溶化剤の混合物に溶解し、マウス、ラット、イヌまたはサルに静脈内または経口投与する。静脈内投与は、ボーラス注射または点滴として実施する。投与する用量は、0.1ないし5mg/kgの範囲である。カテーテルを利用して、または、屠殺血漿として、様々な時点で26時間までの期間にわたり血液サンプルを取る。さらに、いくつかの場合では、臓器、組織および尿のサンプルも取る。試験サンプル中の物質の定量的測定は、問題のマトリックス中で調整した較正サンプルを使用して行う。サンプル中に存在するタンパク質をアセトニトリルまたはメタノールによる沈殿で除去する。次いで、サンプルをHPLCにより、2300 HTLC システム(Cohesive Technologies, Franklin, MA, USA)で逆相カラムを使用して、分画する。HPLCシステムを、ターボイオンスプレーインターフェース(turbo ion spray interface)を介して、API 3000 Triple Quadropole 質量分析計(Applied Biosystems, Darmstadt, Germany)に繋ぐ。血漿濃度の時間経過を、検証済みの動態分析プログラムを使用して分析する。
【0226】
輸送タンパク質に対する物質の親和性は、Caco−2細胞または特定の輸送体を過剰発現させた細胞を使用する流動アッセイで、インビトロで試験することにより調べる(Troutman MD, Thakker DR, Pharm. Res. 20 (8) 1210- 1224 (2003); Schwab D, Fischer H, Tabatabaei A, Poli S, Huwyler J, J. Med. Chem. 46, 1716-1725 (2003); Merino G, Jonker JW, Wagenaar E, Pulido MM, Molina AJ, Alvarez AI, Schinkel AH, Drug Metab. Dispos. 33 (5) 614- 618 (2005))。この目的で、細胞を24または96ウェルのフィルタープレートで4ないし15日間培養する。浸透を測定するために、HEPESバッファー中の物質を頂端側(A)または基底側(B)で細胞に添加し、混合物を2時間インキュベートする。0時間および2時間後、サンプルをシスおよびトランスのコンパートメントから取り、LC−MS/MSにより分析する。Schwab らにより公表された式を使用して、Papp値を算出する。Papp(B−A)/Papp(A−B)の比が>2または<0.5であるとき、物質を能動輸送されると分類する。
【0227】
d)エンドトキシン血症活性の測定(インビボ)
ラットまたはマウスを使用して調査を実施する。マウスモデル(NMRI, 雄)では、LPS(大腸菌血清型055:B5、Sigma-Aldrich)を、50mg/kgで腹腔内注射する。尾静脈を介して静脈内に、皮下に、腹腔内に、または、胃管を使用して経口で、LPS注射の1時間前までに試験物質を投与する。LPS投与の4時間後、動物を麻酔し(Ketavet/Rompun)、腹部を外科手術により開く。クエン酸ナトリウム溶液(3.2%w/v)(式:体重(g)/13に100μlを掛ける)を下部大静脈に注射し、血液サンプル(約1ml)を30秒後に取る。様々なパラメーター、例えば、血液細胞成分(特に、赤血球、白血球および血小板)、乳酸塩濃度、凝固活性化(TAT)、または、臓器機能不全もしくは臓器不全のパラメーター、および、死亡率を、血液から測定する。
【0228】
e)ラットのDIC試験に使用する方法の説明
LPS(大腸菌O55 B5、Sigma により製造、PBSに溶解)を、雄の Wistar ラットに、250μg/kgの投与量で、尾静脈に静脈内投与する(投与体積2ml/kg)。試験物質をPEG400/HO60%/40%に溶解し、LPS注射の30分前に経口投与する(投与体積5ml/kg)。LPS注射の1、5または4時間後に、終末的麻酔(Trapanal(登録商標)100mg/kg i.p.)で心臓の穿刺により動物を失血させ、フィブリノーゲン、PT、TATおよび血小板数の測定のために、クエン酸血漿を得る。場合により、肝臓酵素、腎機能パラメーターおよびサイトカインの測定のために、血清を得る。購入できるELISA(R&D Systems)により、TNFαおよびIL−6を測定する。
【0229】
臓器機能の直接的パラメーター、例えば、左室圧および右室圧、動脈圧、尿排出、腎灌流および血液ガスおよび酸/塩基状態を測定することも可能である。
【0230】
C. 医薬組成物の例示的実施態様
本発明による化合物は、以下の方法で医薬製剤に変換できる:
錠剤:
組成:
本発明による化合物100mg、ラクトース(一水和物)50mg、トウモロコシデンプン(天然)50mg、ポリビニルピロリドン(PVP25)(BASF, Ludwigshafen, Germany より)10mgおよびステアリン酸マグネシウム2mg。
錠剤重量212mg。直径8mm、曲率半径12mm。
製造:
本発明による化合物、ラクトースおよびデンプンの混合物を、5%濃度PVP水溶液(m/m)で造粒する。顆粒を乾燥させ、次いで、ステアリン酸マグネシウムと5分間混合する。この混合物を常套の打錠機を使用して打錠する(錠剤の形状について、上記参照)。ガイドラインとして、打錠力15kNを打錠に使用する。
【0231】
経口懸濁液:
組成:
本発明による化合物1000mg、エタノール(96%)1000mg、Rhodigel(登録商標)(FMC, Pennsylvania, USA のキサンタンガム)400mgおよび水99g。
経口懸濁液10mlは、本発明による化合物の単回用量100mgに相当する。
製造:
Rhodigel をエタノールに懸濁し、本発明による化合物を懸濁液に添加する。撹拌しながら水を添加する。Rhodigel の膨潤が完了するまで、混合物を約6時間撹拌する。
【0232】
経口液剤:
組成:
本発明による化合物500mg、ポリソルベート2.5gおよびポリエチレングリコール400 97g。経口液剤20gは、本発明による化合物の単回用量100mgに相当する。
製造:
本発明による化合物を、ポリエチレングリコールおよびポリソルベートの混合物に、撹拌しながら懸濁する。本発明による化合物が完全に溶解するまで、撹拌を継続する。
【0233】
i.v.液剤:
本発明による化合物を、飽和溶解度より低い濃度で、生理的に許容し得る溶媒(例えば、等張塩化ナトリウム溶液、グルコース溶液5%および/またはPEG400溶液30%)に溶解する。溶液を濾過滅菌し、無菌のパイロジェン不含の注射容器に満たす。

【特許請求の範囲】
【請求項1】

【化1】

[式中、
nは、0、1、2または3の数を表し、
は、塩素、トリフルオロメトキシ、メチル、エチル、n−プロピル、メトキシ、メトキシメチルまたはエトキシメチルを表し、
は、水素またはメチルを表す]
の化合物またはその塩、その溶媒和物もしくはその塩の溶媒和物の1つ。
【請求項2】
式中、
nが、0、1または2の数を表し、
が、塩素、トリフルオロメトキシ、メチル、n−プロピル、メトキシまたはメトキシメチルを表し、
が、水素またはメチルを表す、
請求項1に記載の化合物またはその塩、その溶媒和物もしくはその塩の溶媒和物の1つ。
【請求項3】
式中、
nが、0、1または2の数を表し、
が、メチル、メトキシまたはメトキシメチルを表し、
が、水素を表す、
請求項1または請求項2に記載の化合物またはその塩、その溶媒和物もしくはその塩の溶媒和物の1つ。
【請求項4】
式中、
nが、1または2の数を表し、
が、メチルを表し、
が、水素を表す、
請求項1ないし請求項3のいずれかに記載の化合物またはその塩、その溶媒和物もしくはその塩の溶媒和物の1つ。
【請求項5】
請求項1に記載の式(I)の化合物、またはその塩、その溶媒和物もしくはその塩の溶媒和物の1つの製造方法であって、
[A]式
【化2】

の化合物を、第1工程で、式
【化3】

(式中、n、RおよびRは、請求項1に記載の意味を有する)
の化合物と反応させ、式
【化4】

(式中、n、RおよびRは、請求項1に記載の意味を有する)
の化合物を得、第2工程で、ホスゲンまたはホスゲン等価物の存在下で環化し、式(I)の化合物を得る、
または、
[B]式
【化5】

(式中、n、RおよびRは、請求項1に記載の意味を有する)
の化合物を、式
【化6】

(式中、Xは、ハロゲン、好ましくは臭素もしくは塩素、またはヒドロキシルを表す)
の化合物と反応させる、
を特徴とする方法。
【請求項6】
疾患の処置および/または予防のための、請求項1ないし請求項4のいずれかに記載の化合物。
【請求項7】
疾患の処置および/または予防用の医薬を製造するための、請求項1ないし請求項4のいずれかに記載の化合物の使用。
【請求項8】
血栓塞栓性障害の処置および/または予防用の医薬を製造するための、請求項1ないし請求項4のいずれかに記載の化合物の使用。
【請求項9】
インビトロでの血液凝固を防止するための、請求項1ないし請求項4のいずれかに記載の化合物の使用。
【請求項10】
請求項1ないし請求項4のいずれかに記載の化合物を、不活性、非毒性の医薬的に許容し得る補助剤と共に含む、医薬。
【請求項11】
請求項1ないし請求項4のいずれかに記載の化合物を、さらなる活性化合物と共に含む、医薬。
【請求項12】
血栓塞栓性障害の処置および/または予防のための、請求項10または請求項11に記載の医薬。
【請求項13】
抗凝血的に有効な量の、少なくとも1種の請求項1ないし請求項4のいずれかに記載の化合物、請求項10ないし請求項12のいずれかに記載の医薬、または、請求項7または請求項8に従って得られる医薬を使用する、ヒトおよび動物の血栓塞栓性障害の処置および/または予防方法。
【請求項14】
抗凝血的に有効な量の請求項1ないし請求項4のいずれかに記載の化合物を添加することを特徴とする、インビトロでの血液凝固の防止方法。
【請求項15】
肺高血圧の処置および/または予防用の医薬を製造するための、請求項1ないし請求項4のいずれかに記載の化合物の使用。
【請求項16】
敗血症、全身性炎症症候群(SIRS)、敗血性臓器機能不全、敗血性臓器不全および多臓器不全、急性呼吸促迫症候群(ARDS)、急性肺損傷(ALI)、敗血性ショックおよび/またはDIC(「播種性血管内凝固」)の処置および/または予防用の医薬を製造するための、請求項1ないし請求項4のいずれかに記載の化合物の使用。
【請求項17】
血栓塞栓性障害の処置および/または予防方法において使用するための、請求項1ないし請求項4のいずれかに記載の化合物。

【公表番号】特表2010−530384(P2010−530384A)
【公表日】平成22年9月9日(2010.9.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−512560(P2010−512560)
【出願日】平成20年6月7日(2008.6.7)
【国際出願番号】PCT/EP2008/004563
【国際公開番号】WO2008/155033
【国際公開日】平成20年12月24日(2008.12.24)
【出願人】(507113188)バイエル・シェーリング・ファルマ・アクチェンゲゼルシャフト (141)
【氏名又は名称原語表記】Bayer Schering Pharma Aktiengesellschaft
【Fターム(参考)】